並河天民(読み)なみかわてんみん

精選版 日本国語大辞典 「並河天民」の意味・読み・例文・類語

なみかわ‐てんみん【並河天民】

  1. 江戸中期儒者。名は亮。字は簡亮。号は天房。京都の人。初め伊藤仁斎に学んだが、仁斎の仁義性情の説に反対し、人間主体の一元説を唱えた。経済・実用の学を重んじ、蝦夷開拓を幕府に建言して自らも渡航を企て「蝦夷地大地図」を作製した。和学、医法、本草学にも通じた。著「疑語孟字義」「かたそぎの記」など。延宝七~享保三年(一六七九‐一七一八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「並河天民」の意味・わかりやすい解説

並河天民
なみかわてんみん
(1679―1718)

儒学者。名は亮、字(あざな)は簡亮(かんすけ)といい、号は天民。京都の生まれ。兄誠所(せいしょ)(1668―1738)とともに古義堂の伊藤仁斎(いとうじんさい)に入門したが、仁斎の学説批判して、のち独立し、経国済民の学を目的とした。蝦夷(えぞ)地(北海道)に渡ろうとして果たさず、蝦夷地の日本服属を献策した。仁斎の堀川学派は、のち伊藤東涯(とうがい)と天民の二派に分かれるなど、逸材として有名。その著に『天民遺言』2巻や『蝦夷地大地図』がある。

[今中寛司 2016年6月20日]

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百科事典マイペディア 「並河天民」の意味・わかりやすい解説

並河天民【なみかわてんみん】

江戸中期の儒学(古義学)者。名は亮,字は簡亮(かんすけ)。山城(やましろ)の人。若くして伊藤仁斎(いとうじんさい)に学ぶ。仁斎の子東涯(とうがい)と古義学の好一対と称されたが,学風は異なり,兵学・医方・本草学(ほんぞうがく)に通じ,書経・論語・孟子に基づき,経済実用の学を志した。著書《疑語孟字義(ぎごもうじぎ)》《天民遺言(てんみんいげん)》など。兄の誠所(せいしょ)も儒者として有名。→古学派

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改訂新版 世界大百科事典 「並河天民」の意味・わかりやすい解説

並河天民 (なみかわてんみん)
生没年:1679-1718(延宝7-享保3)

江戸中期の儒学者。古義学派。諱(いみな)は亮,字は簡亮,通称は勘介,天民は諡(おくりな)である。山城国紀井郡横大路村に生まれ,幼少より京都に住む。13歳で伊藤仁斎に師事したが,仁斎死後,師説を批判して独自の学説を唱えた。政治にも積極的で,蝦夷地開拓意見書を起草している。著作には《兵法印可二則》《闢疆録》《かたそきの記》,弟子が編纂した《天民遺言》などがある。
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朝日日本歴史人物事典 「並河天民」の解説

並河天民

没年:享保3.4.8(1718.5.7)
生年:延宝7.5.28(1679.7.6)
江戸中期の儒学者。名ははじめ 良弼,のち亮。字は伝亮のち簡亮。通称ははじめ庄(正)蔵のち勘介。天民は諡号。山城国紀井郡横大路村(京都市)の豪農の家に出生。父宗弥,母は永田氏,誠所は兄。幼時より京都市中に住み,元禄4(1691)年誠所と共に伊藤仁斎に入門,古義学を学ぶ。宝永5(1708)年前後から仁斎説に疑義を持ち,全面的批判を展開して,独自の学問を形成した。仁斎没後の古義堂は東涯師事と天民師事とに二分されたともいう。遺文集に『天民遺言』がある。<参考文献>脇田真佐子「並河天民の儒教思想」(『日本思想史への試論』)

(三宅正彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「並河天民」の解説

並河天民 なみかわ-てんみん

1679-1718 江戸時代前期-中期の儒者。
延宝7年5月28日生まれ。並河誠所の弟。伊藤仁斎(じんさい)にまなび,仁斎の説をつぎながら,疑問箇所を批判。孔孟(こうもう)の正義は経国済民にあるとし,幕府に蝦夷(えぞ)地(北海道)を日本に帰属させることを献策した。享保(きょうほう)3年4月8日死去。40歳。京都出身。名は亮。字(あざな)は簡亮。著作に「蝦夷地大地図」「かたそきの記」など。

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367日誕生日大事典 「並河天民」の解説

並河天民 (なみかわてんみん)

生年月日:1679年5月28日
江戸時代中期の儒学者
1718年没

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