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本草書をひもとき、薬物の歴史を明らかにする学問。伝統薬物には、長い歴史を経る間に、その名称や基源が変化しているものも多い。とくに漢薬にはその傾向が強く、現在でも多くの異物同名品があり、いずれの薬物を使用すべきかが不明確であることも少なくない。こういった場合には、本草学的に解決するという方法(本草考察)がとられる。本草考察においては、古来の正品を明確にすることはもちろん、その薬物の基源や薬効などの歴史的変遷についても言及する必要がある。したがって、調査対象となる文献は、いわゆる本草書のみならず、医方書、歴史書、小説、地理書、その他といった幅広い分野の書籍に及ぶこととなる。
本草考察を行うに際して、もっとも注意すべきことは、参考とする本草書の版本である。本草書は、翻刻が重ねられるうちに、その内容が変化しているものである。したがって、同一書名といえども、版本によってかなり内容を異にする。原本にあたるのが最良であるが、原本が散逸しているものも多く、実際には困難である場合が多い。こうしたことから、できるだけさまざまな版本を参照することが望まれるが、版本によって異なる内容があるときは、それが単なる翻刻の誤りか、意図のある改作かを洞察する必要がある。後者である場合は、その時代背景を知ることは本草考察において重要である。時代背景としては、政治的背景のほか、作者の出身地、勉学地などがあげられる。また、校定本の場合には、校定者によって内容が大きく異なるため、とくに注意が必要となる。『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』の校定本においては、収載品目すら異なっている。本草考察において、もう一つ重要なことは、本草書のなかには、孫引きによって書かれた書物も多く、かならずしもその内容が、その時代を反映しているとはいいがたいということである。したがって、書物から得られる知識は、あくまでも時代的変遷の流れのなかでとらえるべきで、誤った先入感をもつことは、正しい考察の妨げとなる。
[難波恒雄・御影雅幸]
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…その代表的なものが,後漢(1~3世紀)のころの《神農本草》と,《傷寒論(雑病論)》である。前者は,西方山地に発達したとされる〈薬効ある自然物〉に関する知識をまとめたもので,中国医学における薬学(本草学)の基礎となったものであり,後者は,身のまわりに存在するありふれた薬物(生薬)を適宜に組み合わせて,その総合的効果が十分に発揮できる特定の条件の疾病に用いるという,当時の江南地方の医術における経験が整理され,一定の薬物を配合した処方に適応する条件(これを証という)という根本概念を把握し,体系化したものである。 漢方医学は,高度な臨床治療体系をもち,非常に実用的なものであり,観念的,神秘的な色彩のまったく認められない実践的医学体系であった。…
…生薬という言葉は1880年大井玄洞がドイツ語のPharmakognosieに対して〈生薬学〉の訳語をあてたことに始まる。古来〈きぐすり〉という言葉があり,和漢薬の研究に対しては〈本草学〉という語があったが,近代科学の1分野として取り扱うという意味から新しく造られた言葉である。Pharmakognosieという語は1815年ザイドラーSeydlerが論文の標題に用いたのが最初で,1832年マルティウスT.W.C.Martiusの《生薬学の基礎Grundriss der Pharmakognosie des Pflanzenreiches》にこの名称が用いられ,今日に至っている。…
… 博物学の祖とされるアリストテレスには植物学の著述は残されておらず(彼が植物園をつくっていたともいわれ,植物学に関心がなかったとは思えないが),その弟子のテオフラストスの《植物誌Historia plantarum》などが植物学のはじまりといわれる。中世には本草学herbalismという記載を主とした時代があった。近代植物学は研究機器のめざましい発達とともに,生命現象の解析に大きな成果を上げつつある。…
…第1は南画(文人画)へ,第2は伊藤若冲,曾我蕭白ら表出性の強い画家群へ,そして第3は写生を重視する円山派へと発展した。この基盤として,本草学に象徴されるような当時の文化全般にわたる客観的実証的傾向が指摘できよう。 応挙ははじめ狩野派の一分派である鶴沢派に学んだが,玉条とすべきは粉本でなく写生であることに開眼,これを基礎として新画風の確立へ向かった。…
※「本草学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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