日本大百科全書(ニッポニカ) 「久米南」の意味・わかりやすい解説
久米南(町)
くめなん
岡山県中央部、久米郡にある町。1954年(昭和29)弓削(ゆげ)町と誕生寺(たんじょうじ)、神目(こうめ)、竜山(たつやま)の3村が合併し、同地方の旧称久米南条郡にちなんで新町名とした。主要集落は弓削、誕生寺、神目で、JR津山線、国道53号に沿う。起伏の多い吉備(きび)高原上に位置し、誕生寺川氾濫(はんらん)原には水田が発達するが、高原上では畜産やブドウ栽培が行われる。北庄(きたしょう)、上籾(かみもみ)の棚田は「日本棚田百選」に選ばれている。また、マツタケを特産する。古代の久米郷の地。栃社(とちこそ)山誕生寺は法然房(ほうねんぼう)源空の生誕地で、熊谷直実(くまがいなおざね)建立と伝える浄土宗特別寺院。誕生寺の御影堂と山門は国指定重要文化財、阿弥陀如来(あみだにょらい)立像などは県指定重要文化財。二十五菩薩練供養(ぼさつねりくよう)は県指定重要無形民俗文化財。町民には川柳(せんりゅう)熱が盛んで、川柳の町としても知られる。面積は78.65平方キロメートル、人口4530(2020)。
[由比浜省吾]
『『久米南町誌』(1982・久米南町)』▽『『久米南町50年のあゆみ』(2004・久米南町)』