中国の伝説にみえる尻尾が九つに分かれた狐。天下が太平になると出現する祥瑞の一つとされた。《古本竹書紀年》に夏(か)の伯杼子が東征して〈狐の九尾なる〉を得たといい,《山海経》海外東経には青丘国にいる狐は九尾だとあるように,東方の霊獣と考えられたらしい。《白虎通》は,九尾は子孫がふえることを象徴するといい,また《呉越春秋》には,禹(う)は九尾狐を見て塗山氏の娘をめとったとあるように,祥瑞の観念の背後には,婚姻と子孫の多産などの生命力に関する信仰があったものと考えられる。後漢時代の画像石では,当時流行した女神,西王母(せいおうぼ)の図像の周囲にしばしば九尾狐が描かれ,また甘粛省武威出土の銘旌(めいせい)では太陽の中に九尾狐が見える。後世,狐の妖性が強調された結果であろうか,宋・元の講談の中では,殷の紂王(ちゆうおう)の妖妃,妲己(だつき)は,〈九尾金毛の狐〉が化けたものだとされている。
→玉藻前(たまものまえ)
執筆者:小南 一郎
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