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玉藻前 たまものまえ

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

玉藻前 たまものまえ

伝説上の美女。
平安時代後期の鳥羽(とば)法皇の寵姫(ちょうき)だが,その正体は金毛九尾のキツネ。天竺(てんじく)(インド)と中国で悪行をかさね,日本に飛来したといわれる。陰陽師(おんようじ)安倍泰成(やすなり)にみやぶられて射殺され,その霊は下野(しもつけ)(栃木県)那須野の殺生石となるが,源翁(げんのう)心昭に杖(つえ)で粉砕された。室町時代以降,謡曲,人形浄瑠璃(じょうるり),歌舞伎などの題材となった。

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百科事典マイペディアの解説

玉藻前【たまものまえ】

伝説上の人物。鳥羽法皇(近衛(このえ)天皇とも)の寵姫(ちょうき)であったが,実は金毛九尾(きんもうきゅうび)のキツネであると陰陽(おんよう)師安倍泰成(やすなり)に見破られて那須野(なすの)に逃げたが射殺され,その霊は石と化し近寄る人や鳥獣を殺したという(殺生石(せっしょうせき))。

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朝日日本歴史人物事典の解説

玉藻前

平安後期に鳥羽上皇の寵愛を受けたとされる伝説上の美女。天竺や中国で王法や仏法を破壊したのち,日本に渡来した妖狐の化身で,体から妖光を発することから,玉藻前と呼ばれた。陰陽師の安倍泰成に正体を見破られ,那須野(栃木県)で武士の三浦介に射殺され,殺生石となる。この物語は,保元の乱(1156)から源頼朝の挙兵(1180)に至る戦乱の時代を背景にし,王権の危機とその回避というテーマを,妖狐の出現と武士による退治という形で説明している。狐=荼吉尼天(仏教系の神)が王権の存亡を左右する両義的な神であるという観念は,東寺や天台宗系の即位法にみられ,狐は如意宝珠を体に宿す霊獣であるとされている。謡曲の「殺生石」は,源翁和尚が玉藻前の怨霊を鎮める後日譚であるが,玉藻前の死体から玉を抜き取ったとされる三浦介は,子孫の代まで玉藻前に祟られたという別伝がある。悪霊憑きと悪霊祓いという儀礼的なコンテクストで語られた物語として,この物語の原型を再解釈することができる。<参考文献>美濃部重克「『玉藻前』考」(『伝承文学の視角』)

(小松和彦)

出典|朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版
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世界大百科事典 第2版の解説

たまものまえ【玉藻前】

伝説上の美女。鳥羽法皇の寵姫(ちようき)玉藻前は,天竺(てんじく)と中国において,婬酒によって王を蕩(とろか)し,すこぶる残虐な所行や悪の限りをつくした果てに,日本に飛来した金毛九尾(きゆうび)の狐の化身であった。この妖狐は,陰陽師安倍泰成に正体を見破られ,那須野に逃げるが射殺され,その霊は石と化して近寄る人や鳥獣を殺す殺生石(せつしようせき)になったという。のちに玄翁(げんのう)和尚の法力で,妖狐の精魂は散滅させられた。

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大辞林 第三版の解説

たまものまえ【玉藻前】

中国から来た金毛九尾の狐が化けたという伝説上の美女。宮廷に入り鳥羽院の寵をうけるが、陰陽師おんようじ安倍泰親に見破られ、下野国那須野に飛び去って殺生石せつしようせきとなる。浄瑠璃・歌舞伎などに脚色。

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世界大百科事典内の玉藻前の言及

【殺生石】より

…そこへどこからともなく女(前ジテ)が現れて,石の付近は危険だと声を掛け,石の由来を語って聞かせる。むかし宮中に学芸優れた美女がいて,なにを尋ねても曇りなく答えたので,玉藻前(たまものまえ)と名付けられたという。ある夜秋風に灯火が消えたとき,玉藻前の体から光を発して宮中を照らしたが,それ以来帝は病となった。…

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