祥瑞(読み)ショウズイ(英語表記)xiáng ruì

デジタル大辞泉 「祥瑞」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ずい〔シヤウ‐〕【祥×瑞】

縁起のよい前兆。吉兆。
[類語]幸先吉相瑞相瑞兆瑞祥吉兆瑞光

しょんずい【×瑞】

中国明末の崇禎すうてい年間(1628~1644)、日本の茶人の注文により景徳鎮窯で作られたといわれる染め付け磁器。精白の素地きじに、鮮やかな青藍色で模様を施す。「五良大甫呉祥瑞造」の銘があるところからつけられた名称。明末から清初にかけて焼かれた。

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精選版 日本国語大辞典 「祥瑞」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ずいシャウ‥【祥瑞】

  1. 〘 名詞 〙
  2. めでたいしるし。よろこばしい前兆。吉祥。吉瑞。
    1. [初出の実例]「古賢王有言。祥瑞之美無以加豊年」(出典:続日本紀‐和銅五年(712)九月己巳)
    2. 「只周の代に宝鼎を掘出し、夏の時に河図を得たりし祥瑞(シャウスイ)も是には過じとぞ見へし」(出典:太平記(14C後)二五)
  3. しょんずい(祥瑞)

しょん‐ずい【祥瑞】

  1. 〘 名詞 〙 染付(そめつけ)磁器の一種。素地、釉(うわぐすり)、青料ともに精選された上質のもの。器底の「五良大甫呉祥瑞造」の銘からの称。多く茶器で、中国明末、日本の茶人の注文によって景徳鎮の民窯で作られたものとされる。銘は伊勢国三重県)の陶工、五郎太夫のことともいわれたが、現在では中国明末の陶工と解されている。祥瑞手
    1. [初出の実例]「祥瑞(ションズイ)の丼に、雪花糖・唐密柑を入」(出典:洒落本・文選臥坐(1790)東北の雲談)

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改訂新版 世界大百科事典 「祥瑞」の意味・わかりやすい解説

祥瑞 (しょうずい)
xiáng ruì

中国で,王者の徳によって太平の世が実現されたことを知らせる,めでたいしるし。日月がいちだんと輝きを増したり,鼎(かなえ)の出現や鳳凰,騏驎(きりん),連理の木などの珍しい動植物の出現により示されると考えられた。年号にも祥瑞の出現にちなむものが多い。《白虎通》封禅篇や《論衡》是応篇などにさまざまの祥瑞が列挙され,正史にも《宋書》符瑞志や《南斉書》祥瑞志など,祥瑞について記述する篇が設けられることがある。祥瑞は王者の徳によってもたらされるだけでなく,皇帝となるべき天命がくだったしるしであるとも考えられて〈符命〉とよばれた。王莽(おうもう)の漢王朝奪にさきだち,井戸のなかから発見された白石に〈安漢公莽に告げて皇帝と為す〉と朱書されていたのが符命の最初であるという。以後,後漢の光武帝なども政権樹立の正統性を主張するために盛んに符命を利用し,〈図讖(としん)〉や〈讖記〉とよばれる予言記の流行に拍車をかけた。
讖緯(しんい)説
執筆者:


祥瑞 (しょんずい)

中国の明末・清初,崇禎年間(1628-44)を中心に江西省景徳鎮の民窯で,日本の茶人たちの好みを反映して作られた精緻な絵付の青花磁器。一部の作品に〈五郎大甫 呉祥瑞造〉の染付銘があるところから祥瑞と呼ばれる。精選された磁土を用い,鮮烈なバイオレット・ブルーに発色する青料(呉須)で絵柄が器物のほとんど全体に描かれている。器種には香合,水指,茶碗のほか鉢皿類など懐石具もある。また染付祥瑞のほか,上絵を加えた色絵祥瑞もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祥瑞」の意味・わかりやすい解説

祥瑞
しょんずい

中国、景徳鎮窯(けいとくちんよう)で明(みん)代末期の崇禎(すうてい)年間(1628~1644)、日本からの注文によって焼造された異色な染付磁器。緻密(ちみつ)な白磁胎に鮮やかな青藍(せいらん)色の染付で文様を表した上質な焼物で、作品の底に「五良大甫呉祥瑞造(ごろうたいほごしょんずいぞう)」という染付銘があるところから、日本では一般に祥瑞と称している。遺品の多くは日本のわび茶の道具で占められ、水指、反鉢(そりばち)の大作から、茶碗(ちゃわん)、香合(こうごう)、茶器、茶巾(ちゃきん)筒などの茶具、徳利、酒呑(ぐいのみ)、台鉢、手鉢、輪花鉢、向付(むこうづけ)、皿などの懐石道具があるほか、まれに香炉燭台(しょくだい)、書鎮などの文房具もある。

 いずれも造形からみて明らかに日本の茶人のための特製品であり、形は注文に応じながら、絵付の文様はほとんどすべて中国原図に従って、中国意匠を盛っているところに、奇をねらう茶人の着想があったようである。この文様の一部に緑・赤などの上絵彩を施したものは色絵祥瑞ともいう。また銘文の「五良大甫呉祥瑞」とは呉家の家の五男の長子という意味であり、呉姓を名のる景徳鎮陶工の作であると推測される。兵庫県芦屋(あしや)市の滴翠(てきすい)美術館には、明最末期の作とされる崇禎8年(1635)銘の染付茶巾筒が蔵されている。

[矢部良明]

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百科事典マイペディア 「祥瑞」の意味・わかりやすい解説

祥瑞【しょんずい】

中国の明末の崇禎年間を中心に江西省の景徳鎮で焼かれた染付。絵文様が緻密で上質のコバルトや素地を用いたやきもの。幾つかの作例に〈五良大甫呉祥瑞造〉の銘があることから,これと同様の作風をもつ作品にこの名称がつけられた。日本での呼称。日本の茶人たちからの注文品とみられており,水指,香合,瓢形瓶など独特の器形のものが多い。
→関連項目永楽保全

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「祥瑞」の意味・わかりやすい解説

祥瑞
しょんずい
Xiang-rui

中国,明代末頃に焼成された染付磁器の一様式。器底に「五良大甫」「呉祥瑞造」の縦書き2行の染付銘があるところからこの名が起った。鞘形,亀甲,丸紋つなぎ,立涌 (たてわく) などの幾何学文様を鮮麗な青藍色の釉 (うわぐすり) で表わし,碗,皿,鉢など茶具類が多い。そのため,日本の茶道関係者が中国に注文して作らせた特殊な磁器であったとする説もある。このような染付磁器類を祥瑞手 (で) と称する。祥瑞に赤,黄,緑などの上絵釉を併用したものを色絵祥瑞,または祥瑞色絵と称し,日本では染錦手 (そめにしきで) と呼ぶ。なお呉祥瑞,五良大甫などの銘については諸説があるが,いずれも定かではない。

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普及版 字通 「祥瑞」の読み・字形・画数・意味

【祥瑞】しよう(しやう)ずい

めでたいことのしるし。〔漢書、元后伝〕上は天心に順ひ、下は百姓を安んず。此れ正義善事、當(まさ)にるべし。何の故に災異を致さん。

字通「祥」の項目を見る

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