ペルム紀ともいい,地質時代区分の一つ。古生代最後の紀で,両生類時代ともされ,今から2億8600万年前から2億4800万年前までの期間をさす。1841年R.I.マーチソンは,ロシアのウラル山脈西部のペルム地方によく発達する石灰岩,砂岩,泥灰岩,レキ岩などよりなる地層群をペルム系と名付けた。同時代の地層はドイツでは赤底統と苦灰統の2層になっていて,J.マルコウ(1859)以来ダイアスDyasと呼ばれ,二畳系はこの訳語である。時代を示す術語としては,日本では二畳紀の方がペルム紀より古くから用いられている。
ロシアに見られる層序をもとにして,六つの世に分けられているが,二畳系とこれより古い石炭系との境界は,必ずしも国際的合意に達していない。しかしフズリナの1属シュードシュワゲリナPseudoschwagerinaの出現をもって二畳紀の始まりとする意見が多い。シュードシュワゲリナ含有層の下には,日本やアメリカでは大きな不整合があることも,両系の区分の根拠とされている。日本では岩手県にある坂本沢層をはじめ二畳系の分布は広く,ほとんどすべて海成層で,海底火山活動が知られる。石灰岩も多く含まれ,岐阜県赤坂,栃木県葛生など,古くから著名な採石場がある。全般的に気候は温暖で,北方にはアンガラ大陸があり,南にはゴンドワナ大陸があって,中間にテチス海があった。テチス海の一部にはカタイシアCathaysia(契丹古陸,キャセイジアともいう)と呼ばれる大陸があった。中国北部の石炭層はこの時代のものである。日本はテチス海の東端にあって,古地磁気学的研究によると,今よりはるかに低緯度に位置していたといわれる。一方,ゴンドワナ大陸では大陸氷河の痕跡も認められる。ヨーロッパの二畳紀はバリスカン造山運動のなごりの時期で,苦灰統を堆積した海には,ドイツのマンスフェルトの銅鉱や,スタッスフルトの岩塩などの鉱床が形成された。同時期の岩塩ドームは北ドイツや北海油田の形成に重要な役割を果たしている。二畳紀末には汎世界的な大海退が起こり,三葉虫,フズリナ,四射サンゴなど多くの古生代型動物群が絶滅した。日本では,二畳系と中生代三畳紀の地層との間に不整合の存在するところが多いが,一方,両者の間が整合一連であると考えられるところも存在している。
→地質時代
執筆者:加藤 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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