古生代後期の造山運動。E.ジュースが《世界の顔Das Antlitz der Erde》(1888)の中で,ドイツ地域の古生代後期の褶曲山脈に〈バリスカン山脈〉と命名し,後にフランス地域のアルモリカン山地にまで拡張し,H.シュティレ(1924)以後広く世界各地の古生代後期の褶曲山脈を〈バリスカン造山帯〉とよぶようになった。バリスカンの名はドイツの古い民族バリスカーVariskerに由来する。バリスカン造山運動と同じ意味で,ヘルシニア造山運動Hercynian orogenic movementがイギリス,フランスなどで用いられるが,この名はドイツのハルツHarz山地に由来する。
近年の研究では,バリスカン造山帯は古生代後期のユーラシア大陸と南方のゴンドワナ大陸との間に形成された東西方向の大造山帯で,中部ヨーロッパからアフリカ北部にわたり,現在の南北幅でも2000kmに及んでいる。西方延長は北アメリカのアパラチア造山帯へ,東方延長は中央アジアの天山~アルタイ~大興安嶺造山帯からモンゴル地向斜を含み,さらにウラル山脈,オーストラリア東部から南極にも広がる。地球の歴史上最大の変動帯で,バリスカン造山運動が終わって大陸移動がおこったと考えられる。
ヨーロッパ中部のバリスカン造山帯に伴われる変成岩類は3億~3.25億年前,花コウ岩は3億~3.5億年前の年代を示す。しかしエルツ山地,ボヘミア地塊などからは4.45億~4.8億年前のグラニュライト(高温変成岩)が発見され,バリスカン造山帯の深部に古期カレドニア変動があったことが最近判明し,カレドニア造山運動とバリスカン造山運動が重複していると考えられている。バリスカン造山帯には蛇紋岩や〈対をなす変成帯〉が発達しておらず,プレートテクトニクスのモデルが適用されにくいと考えられている。中国では天山,アルタイ,大興安嶺およびチベット北部にバリスカン造山運動と同時期の変動がある。また,日本における本州造山運動,安倍族造山運動は,バリスカン造山運動に相当するといわれる。
執筆者:佐藤 信次
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Variscan orogeny ,Variscan tectogeny ,Variscan orogenic cycle
古生代後期,特に石炭紀を中心として起こった造山運動。E.Suess(1888)のVariscisches Gebirgeに始まり,M.Bertrand(1887)のchaîne hercynienneの概念を受け継ぎ,H.Stille(1924)が造山輪廻説で総括したものの一つ。ドイツ・日本・中国を除く国ではBertrandのヘルシニア(Hercynian)を用いる。標準地ヨーロッパでは,アルデンヌ‒ライン頁岩山地,ハルツなど現在は地塁をなす山地が古典的研究地で,カレドニア山地とアルプス山地との間を占める。中心部では先カンブリア界または下部古生界の上に海成デボン~下部石炭系が地向斜堆積物をなし,石炭紀中ごろに褶曲・広域変成・深成作用など最高の時相の認められる所が多く,上部石炭~ペルム系は含炭層または赤色岩層(新赤色砂岩)となる。北米のアパラチア(南)変動,日本の本州造山など,これに相当するものが世界各地に広く存在するとされた。
執筆者:山下 昇
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…太陽系を構成する天体の一つで,希薄なガスに包まれ,ときには長い尾を引いて,ほうきの形に見え〈ほうきぼし〉とも呼ばれる。“すい星のように……”とは,優れた人物がその社会に突然現れるときに使われる表現である。 何らの予告もなく,突然出現し,姿,形を変える大すい星の存在は太古から知られていて,日・月食などとともに人々の恐怖の的となり,迷信の対象となっていた。中国では古くからその字が示すようにすい星は天体であると考えられていたが,西洋ではアリストテレス以来,長い間すい星は虹や稲妻のように,地球大気内の現象だと思われていた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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