出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中国、華南地方で焼かれた明(みん)後期の三彩陶。中国物でありながら交趾(南ベトナムの古い地方名)とするのは、この方面に輸出されたものを、日本が再度輸入することが多かったためと思われる。交趾焼は技術、様式とも明らかに中国の明代陶磁の系譜を引く。素地が柔らかい陶胎と固い半磁胎とに分かれ、とくに半磁胎の交趾焼は景徳鎮窯の法花(ほうか)と同一線上にあり、この窯(かま)の傍系の窯の作品かと判断される。とくに日本の茶人の間でやかましい交趾焼の香合(こうごう)は、後者に属する典型である。なお、わが国では、江戸後期に各地の窯が交趾焼に倣って三彩を焼き、その三彩釉(ゆう)を交趾釉と称する。
[矢部良明]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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