香合(読み)コウゴウ

デジタル大辞泉 「香合」の意味・読み・例文・類語

こう‐ごう〔カウガフ〕【香合/香×盒】

香を入れる小さな容器。漆器・木地・蒔絵まきえ陶磁器などがある。香箱。

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精選版 日本国語大辞典 「香合」の意味・読み・例文・類語

こう‐あわせ カウあはせ【香合】

〘名〙
① 合物(あわせもの)一種左右にわかれ、沈香木をその名を隠してたき、香の種類をかぎわけたり、優劣の判定をしたりする遊戯名香合
※五月雨日記(1479)「香合といふこと。いにしへよりつたへて、代々のきみもすてたまはず」
② 種々の香料各人秘法で調合し、練香にしたものをたいて優劣を判定する遊戯。薫物合(たきものあわせ)

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百科事典マイペディア 「香合」の意味・わかりやすい解説

香合【こうごう】

を入れておく蓋(ふた)付きの器。漆器,陶磁器,金属,貝等で作り茶人の間で愛用された。特に中国製の交趾(こうち)焼や呉須(ごす),青磁等の型物香合や,日本製では志野焼織部陶乾山などのものが珍重された。→香道
→関連項目合子

香合【こうあわせ】

をたいて,においの深浅,優劣を評し,勝負を定める遊戯。平安時代から行われ,薫物合(たきものあわせ)ともいわれた。→香道

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改訂新版 世界大百科事典 「香合」の意味・わかりやすい解説

香合 (こうごう)

香を入れる蓋付きの器。献香,聞香,茶の湯の三つの場合に分けられるが,本来香炉に添っていたものである。香合のもっとも早い例は正倉院に伝来する塔鋺といわれ,その後中国製の堆朱,存星など漆物を中心に大小合子(ごうす)が使われている。日本の漆物としては鎌倉彫蒔絵がある。茶の湯の香合の場合は,大別すると漆物と陶磁器で,ほかに木地物,金属,貝などが用いられ,献香用,聞香用に比べると種類が多く,造形的にも変化にとんでいる。漆物には中国製と日本製があり,陶磁器としては中国製の交趾(こうち),染付,祥瑞(しよんずい),赤絵など,日本製は志野織部のほか,桃山から江戸時代にかけて日本各地の窯で焼かれ,また素人の手造りのものもある。
執筆者:

香合 (こうあわせ)

出香した両者の香の優劣を競う香会をいう。平安時代,薫物(たきもの)(練香)の流行にともない,薫物を競い合う薫物合が催されたが,鎌倉時代以後は一木の沈香木で興行された。歌合,根合,菊合,草紙合,絵合などと同じく合せものである。室町末に三条西実隆,志野宗信らが催した名香合の記録《五月雨之記》に〈香あはせのうちにもたきものあはせ……〉とあるように,薫物でも沈香でも香合は催されたのであって,組香による香道の先駆となった。
香道
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「香合」の意味・わかりやすい解説

香合
こうあわせ

たかれた香木の香を聞き,その香銘を当て,匂いの優劣を判定し合う遊戯。文亀1 (1501) 年5月 29日,主人の志野宗信のもとに牡丹花肖柏ほか8名の客が集って,歌合 (うたあわせ) の方式で 10種の香を嗅ぎ分けた「名香合」が特に著名。 16世紀頃になると遊戯上の興味の中心は,匂いと香銘の出典を考え合せて一つの物語を作ることに移っていった。

香合
こうごう

香を入れるためのふたつきの小型の器。香盒とも書き香箱ともいう。おもに香道,茶の湯で用いる。漆器,陶磁器,金属器のほか,貝,象牙,果実の核などで作られたものもある。陶製で型にはめて作った型物香合が特に愛好される。

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