刑事訴訟において,検察官が起訴した当の人物と現実に公判廷に出頭してきた者が別人であってはならない。そのため,裁判長は,検察官の起訴状の朗読に先だって,被告人に対し,人違いでないことを確かめるに足りる事項を問わなければならない(刑事訴訟規則196条)。これを人定質問と呼ぶ。万が一人違いのままに判決が言い渡されて確定した場合には,その被告人として振る舞ってきた者に対する判決として効力をもつことになり,これを是正するには再審が必要となる。なお,捜査の当初から他人の名前をかたっていた場合などにも,判決の効果はだれに及ぶのか,問題とされる。この場合,効果は,名前をかたられた者ではなく,かたった本人に及ぶ。名前は,いわば符号と解されるからである。
執筆者:米山 耕二
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… 公判期日には,冒頭手続,証拠調べ,弁論を経て,最後に判決が言い渡される。(1)冒頭手続では,出頭した者が被告人本人であることの確認(人定質問)の後,検察官が起訴状を朗読する。つづいて,裁判長は被告人に黙秘権のあることなどを告げたうえ,被告人および弁護人に陳述の機会を与える。…
※「人定質問」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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