出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
新潟県中南部,柏崎市と上越市との境にある山。標高993m。東頸城丘陵の北西端にあたる孤立峰で,かつてはその美しい山容から開析の進んだ火山と考えられていたが,近年,新第三系の凝灰角レキ岩から成ることが明らかになった。日本海側は急崖をなして落ち込み,海岸では福浦八景の景勝を形成するが,かつてはここを通る北陸街道の難所(米山三里)であった。山頂の米山薬師は日本三薬師の一つといわれ,雨乞いに霊験ありといわれる。《三階節》や《米山甚句》といった民謡にも歌い込まれ,地元民のあつい信仰を集めている。米山福浦八景県立自然公園に指定されている。
執筆者:中俣 均
米山は陸海の交通の要所に位置しており,《東遊記》には米山をもって越後国を上越後,下越後とに分けると記されている。加賀白山の開祖泰澄(たいちよう)と結びついた米山の飛鉢伝承も,この山が海上交通の目標とされてきたことを示すものであろう。米山は薬師如来をまつる山として有名であるが,平安時代初期の《大同類聚方》には〈恵奈山薬,越後国三志摩雄之家伝方也,元者少彦名神方也〉とあり,薬が米山の薬師信仰の基礎にあったことを物語るとともに,米山がかつては恵奈(えな)山と称されていたことがわかる。山上山下の薬師堂の別当をつとめる真言宗米山寺密蔵院の住持が室町幕府によって任命されていたことや,米山寺が十刹(じつせつ)に列したことでも明らかなように,中世にはかなりの信仰を集めていた。現在も卯月八日に薬師をまつることが東日本で広く認められるが,米山の山麓はもとより,周辺のかなり広い地域にわたって4月8日を〈米山の命日〉〈薬師様のお祭〉などと称し,米山薬師をまつることが行われている。
執筆者:宮本 袈裟雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
新潟県柏崎市(かしわざきし)と上越市(じょうえつし)の境にある信仰の霊山。標高993メートル。かつて日本海航路の目印となったコニーデ型の美しい火山型山容を呈しているが、海底火山の隆起したもので火山ではない。頂上には米山薬師が祀(まつ)られ、有名な米山甚句(じんく)や三階節(さんがいぶし)にも歌われている地元民の信仰の山で、佐渡弥彦米山国定公園(さどやひこよねやまこくていこうえん)に属している。山体は第三紀中新世の寺泊(てらどまり)・椎谷(しいや)層を抜いた角閃石(かくせんせき)安山岩や複輝石(ふくきせき)安山岩からなり、日本海側は海岸段丘崖(がい)が海に突入して、福浦(ふくうら)八景の景勝地を形成している。近世の北国(ほっこく)街道はこの段丘崖を登り下りする難所で、「米山三里」の峠越えは上・中越の大きな障壁をなしていた。
現在は、国道8号や北陸自動車道が田切(たぎり)峡谷を大袴橋(こきょう)でまたぎ、JR信越本線は海岸をトンネルで通過している。
[山崎久雄]
宮城県北東部、登米郡(とめぐん)にあった旧町名(米山町(ちょう))。現在は登米市の南部を占める地域。旧米山町は、1957年(昭和32)米山、吉田の2村が合併して町制施行。2005年(平成17)迫(はさま)、登米(とよま)、東和(とうわ)、中田(なかだ)、豊里(とよさと)、石越(いしこし)、南方(みなみかた)、津山(つやま)の8町と合併して市制施行し、登米市となった。国道346号が通じる。迫川中流の低地帯にあり、広大な谷地や沼地が多かったが、仙台藩政時代の新田開発で水田地帯となった。西部の蕪栗沼(かぶくりぬま)周辺低地も1931年(昭和6)の北上川分水工事以後、水田化された。迫川の水害を防ぐため新迫川が南北を貫通し、旧迫川の土地改良事業も行われた。稲作のほか、養豚、酪農が行われ、近年では園芸作物を取り入れた複合経営が増加している。
[長谷川典夫]
『『米山町史』(1974・米山町)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
…人口1万2522(1995)。高田平野北部にあり,北東部は米山を中心とする山地からなり,日本海沿いに頸城砂丘がある。中心の柿崎は近世に北陸街道の宿場町として栄え,1897年に信越本線が通じた。…
※「米山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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