人工放射能(読み)ジンコウホウシャノウ

デジタル大辞泉 「人工放射能」の意味・読み・例文・類語

じんこう‐ほうしゃのう〔‐ハウシヤノウ〕【人工放射能】

人工放射性元素αアルファ線・βベータ線・γガンマ線などの放射線を出す性質

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精選版 日本国語大辞典 「人工放射能」の意味・読み・例文・類語

じんこう‐ほうしゃのう‥ハウシャノウ【人工放射能】

  1. 〘 名詞 〙 人工放射性核種から生じる放射能。一九三四年、フランスのジョリオ=キュリー夫妻発見。現在ではサイクロトロン原子炉などですべての元素についてつくることができる。α線、β線、γ線などの放射線源、ラジオ‐アイソトープとしてトレーサーなどに用いられる。〔百万人の科学(1939)〕

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化学辞典 第2版 「人工放射能」の解説

人工放射能
ジンコウホウシャノウ
artificial radioactivity

原子炉や加速器などを用いて,人工的に核反応を起こさせてつくった放射性核種から生じる放射能.1934年にJoliot-Curie夫妻が,ポロニウムから放射されるα線をアルミニウムに照射すると,27Al(α,n)30P反応によって放射性核種 30P が生成することを発見した.30P は陽電子を放出して 30Si になる.これが最初の人工放射能である.同じ年,E. Fermi(フェルミ)は中性子をいろいろな元素に照射して,多数の放射性核種をつくった.これらの業績により,Joliot-Curie夫妻にはノーベル化学賞(1935年),Fermiにはノーベル物理学賞(1938年)が贈られた.人工放射能は多様な分野の基礎研究に利用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人工放射能」の意味・わかりやすい解説

人工放射能
じんこうほうしゃのう
artificial radioactivity

加速器,原子炉,核爆発など,人工的に起した核反応によって生じた放射性核種の放射能。安定物質にこの性質をもたせることを放射化という。 1934年ジョリオ=キュリー夫妻 (J.F.ジョリオ=キュリー,I.ジョリオ=キュリー ) がアルミニウム 27にポロニウムのα線を照射して放射性のリン 30を発見して以来,44年までに約 450種,現在までに 1800種以上の人工放射性核種が知られている。

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世界大百科事典(旧版)内の人工放射能の言及

【放射能】より

…不安定な原子核が放射性崩壊をするときにα線,β線あるいはγ線を放出する性質を指すが,さらに広く,このような放射性の核種のことを意味することも多く,また,一般には物質が放射性の核種を含むときに,その物質は放射能をもつといういい方もされる。放射能はその成立ちから,自然に存在する天然放射能と人為的に作られた人工放射能に区分される。天然放射能の代表的なものは,ウラン系列,アクチニウム系列,そしてトリウム系列の放射性崩壊系列に属する鉛より重い元素で,α崩壊とβ崩壊を繰り返し,鉛の安定な同位元素まで達する。…

※「人工放射能」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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