出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イギリスの作家サマセット・モームの長編小説。1915年刊。自伝的要素の色濃いモームの代表作。主人公フィリップ・ケアリは幼時に両親を失い、叔父に引き取られ、身体的欠陥のため種々の劣等感に苦しめられながら成長。青年になると女性関係に苦しむが、やがて、生も無意味なら死も無意味という悟りに到達する。そしてサリーという平凡で健康、自然そのものとでもいえるような女性と結婚することによって幸福になる。題名は、オランダの哲学者スピノザの『エチカ』など四部の題名『人間の隷属的状態について』を借用したものである。
[瀬尾 裕]
『中野好夫訳『人間の絆』(新潮文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…1907年《フレデリック夫人》がロンドンで上演され大成功を収め,一躍流行の劇作家となった。彼の文筆生活は長いが,大作家として名声が定まったのは,第1次大戦中に執筆した半自伝的小説《人間の絆》(1915)が,次作のゴーギャンをモデルにしたといわれる作品,つまり中年の株式仲買人が突如画家を志し妻子を捨ててタヒチに赴く話を平凡人の私が語る《月と6ペンス》(1919)の大成功にともなって見直されてからである。以来,小説家としては,中国を舞台にした《五彩のベール》(1925),《お菓子とビール》(1930),《片隅の人生》(1932),《劇場》(1937),宗教的な人間と俗人の対立を描いた《剃刀の刃》(1944)などの長編のほかに,〈雨〉〈赤毛〉などの傑作を含む短編集《葉のそよぎ》(1921)の大成功以来,百数十編の短編を発表している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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