伏見人形(読み)フシミニンギョウ

デジタル大辞泉 「伏見人形」の意味・読み・例文・類語

ふしみ‐にんぎょう〔‐ニンギヤウ〕【伏見人形】

伏見で産する土製の人形江戸時代初めころから作られ、形・彩色の素朴なもの。伏見びな

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精選版 日本国語大辞典 「伏見人形」の意味・読み・例文・類語

ふしみ‐にんぎょう‥ニンギャウ【伏見人形】

  1. 伏見人形〈広益国産考〉
    伏見人形〈広益国産考〉
  2. 〘 名詞 〙 京都伏見で製する土製の雛人形安土桃山時代頃から作られ、形や彩色の素朴なもの。伏見雛
    1. [初出の実例]「かさ出して・伏見人形買ふ子持」(出典:雑俳・名付親(1814))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伏見人形」の意味・わかりやすい解説

伏見人形
ふしみにんぎょう

京都市伏見区伏見稲荷(いなり)大社付近でつくられる人形。稲荷山の埴土(しょくど)を用いて創始され、日本で最古の歴史をもつといわれる。全国各地土人形の源流ともなっている。稲荷人形ともいわれ、製作地名から「深草焼」ともよばれた。奈良時代以前からこの深草の地に土着した土師部(はじべ)の埴輪(はにわ)、土器作りから発生したといわれ、祭祀(さいし)用土器から日常生活用品製作へと発展して独立した家業となり、やがて余技として土人形が生み出されてきたと思われる。江戸時代初期の元和(げんな)年間(1615~24)には、すでに人形製作販売の伏見商人仲間(同業組合)が存在していた。一般には関ヶ原の戦いで敗亡した宇喜多秀家(うきたひでいえ)の陪臣(ばいしん)、鵤(いかるが)幸右衛門が、深草の里に隠棲(いんせい)、土人形をつくり生業としたのが始まりと伝えられている。また、東福寺門前の焼き物師、人形屋幸右衛門に、伏見稲荷大社に近い臨済宗東尊寺開山堂の布袋(ほてい)座像を模してつくらせたのがおこりとする説もある。江戸時代には各種の土人形が、伏見街道や稲荷大社の参道で京土産(みやげ)として売られた。幕末から明治初年にかけては窯元(かまもと)と称するものが五十余軒、小売店も十数軒数えられるほどの繁栄を示した。販路は畿内(きない)はもとより四国、九州まで広がり、各地の土人形に強い影響を与えた。これを原型とする作品が全国に多くみられる。

 製法は、表裏二面の土型の内側に粘土をこね伸ばして詰め合わせたのち、型から離して型起こしの人形をつくる。これを天日で乾燥して焼く。窯から出した素焼人形は胡粉(ごふん)で下塗りし、泥絵の具で彩色して仕上げる。種類が多く、かつては3000点に達したという。稲荷信仰にちなんだもの、節供飾り物、教訓説話的なものなど、ほとんどが民間信仰や縁起に結び付いているのが特徴である。火難除(よ)けの布袋(ほてい)、歌舞伎(かぶき)十八番物を人形化した成田屋人形、各種の狐(きつね)物、饅頭(まんじゅう)食い、西行(さいぎょう)、一文牛、天神、友引き人形などがある。

[斎藤良輔]

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改訂新版 世界大百科事典 「伏見人形」の意味・わかりやすい解説

伏見人形 (ふしみにんぎょう)

京都市伏見区稲荷大社付近でつくられている土人形。稲荷山の埴土(はにつち)を用いて始められ,日本の土人形で最古の歴史をもつといわれる。その型は全国に伝えられ各地郷土人形の源流ともなっている。奈良時代以前からこの地に土着した土師部(はじべ)の埴輪,土器つくりから発生したといわれ,江戸時代には〈稲荷人形〉の名で売られ,幕末から明治初期にかけては50余軒の窯元がみられるほどの繁栄ぶりを示した。販路は四国,九州あたりまで広まり,それぞれの土地に伏見系土人形発生の影響を与えた。作品の種類はきわめて多く,かつては3000点にも及んだという。稲荷信仰など宗教的色彩をもったもの,節供飾物,児童用玩具,教訓説話的なもの,観賞用,みやげ物などそのほとんどが民間信仰や縁起に結びついていて,日本の土人形の特質を示している。火難よけの布袋(ほてい),教訓話を人形化した饅頭(まんじゆう)食いなどの代表的な作品がある。
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百科事典マイペディア 「伏見人形」の意味・わかりやすい解説

伏見人形【ふしみにんぎょう】

京都市伏見区で作られる素朴な土製の人形。奈良時代以前よりこの地に土着した土師部の埴輪や土器作りから発生したとされる。日本の土人形で最古の歴史をもつといわれ,各地の土人形の原型をなす。簡単な彩色でまんじゅう食い,布袋(ほてい),ふくら雀など約100種がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伏見人形」の意味・わかりやすい解説

伏見人形
ふしみにんぎょう

京都の伏見で作られる土人形。土で原型を作り,型抜きして大量生産する。簡単な彩色を施したものが多い。安土桃山時代から伏見稲荷の門前で生産販売されたと伝えられ,江戸時代には各地に製法や形式が伝播した。土人形の元祖とされる。

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