土性区分の一つで、かつての日本農学会法によるもっとも粘土分に富むもの。粘土(粒径0.01ミリメートル以下)の含有率が50%以上の土性をいう。この土性は、指先の感触ではほとんど砂粒を感じないほど微細な粘土粒子のみからなり、一般に粘性も強い。国際土壌学会法では、名称としての埴土にあたるクレイ(ヘビークレイheavy clay〈略記hC〉とライトクレイlight clay〈略記lC〉に細分)が、粘土粒子を0.002ミリメートル以下とする規定のもとに、三角座標の土性区分図に配置されている。日本農学会法の区分法とはかなり違うので、日本法で土性を5段階に分けた一つとしての埴土をそのままクレイとよぶのは不適当である。
埴土は低湿な沖積平野の水田や、後背湿地または台地内に食い込む低地や泥炭地などの土壌にみられるほか、十分に粘土粒子の団粒を分散させた火山灰土壌も埴土に属する。
[浅海重夫]
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