粘土製の人形。土偶(どぐう)、泥(どろ)人形ともいう。粘土で型につくり乾燥させただけのものと、これをさらに窯(かま)で焼いたのち胡粉(ごふん)を塗り、彩色して仕上げるものとがある。後者を素焼人形という。先史時代の土偶や古代の埴輪(はにわ)もこれに含まれ、古い歴史をもっている。製作が比較的容易で、安価なうえに量産できる利点があり、ことに江戸時代から節供物、縁起物としてこの種の人形製作が全国各地に発達、数多くの作品が生まれた。産地は京都・伏見(ふしみ)を源流に、全国で約100か所にも上り、三月節供、五月節供の土雛(びな)、土天神、武者人形などのほか、達磨(だるま)、福助、熊金(熊乗り金時)、お多福、太鼓打ち人形、三番叟(さんばそう)、娘、花魁(おいらん)、太閤(たいこう)、加藤清正、神功(じんぐう)皇后、鯛(たい)抱き、獅子舞(ししまい)、恵比須(えびす)、大黒(だいこく)、汐汲(しおく)み、相撲、三味線持ち、子守など、種類は各地に共通するものが多い。また動物類、箱庭道具、飯事(ままごと)道具、泥面子(どろめんこ)、首人形などの土製玩具(がんぐ)類も登場した。節供物以外には、病難災難除(よ)け、招福開運、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など縁起物も多い。現在でも郷土玩具の中核として伝統を示し、博多(はかた)人形(福岡県)、伏見人形(京都市)、堤(つつみ)人形(宮城県)、今戸(いまど)人形(東京都)、古賀(こが)人形(長崎県)などが知られている。
[斎藤良輔]
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