伝染性紅斑(読み)でんせんせいこうはん(英語表記)erythema infectiosum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

伝染性紅斑
でんせんせいこうはん
erythema infectiosum

りんご病ともいう。顔面にチョウのような形をした紅斑 (こうはん) が現れる病気。主に学童がかかるが,伝染力はさほど強くない。まれに発熱を伴うことがあるが,呼吸器や消化器にまで及ぶことはない。ただ年長児では,全身倦怠や関節痛を訴えることがある。顔面の紅斑は両頬に現れ,多少の隙間はあるものの全体として癒合した形になっており,触わると熱感がある。鼻梁に紅斑が出現すると左右をつなげる形になって,チョウが羽を広げた形に見える。上腕,大腿などに,不整形の赤い発疹 (はっしん) が見られる。いびつな輪ゴムがつながったように見えるもの,格子柄に見えるもの,網目状・レース状のもの等,その他の発疹性疾患ではまず見られない形の発疹である。体幹には少ないが,2,3日すると胴体,とりわけ上胸部などにも出現することがある。その代わり頬の紅斑は日とともに薄らいでいく。通常 10日ほどで治る。

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世界大百科事典 第2版の解説

でんせんせいこうはん【伝染性紅斑 erythema infectiosum】

一般に〈りんご病〉,欧米では〈slapped cheek disease〉といわれる発疹性疾患で,ウイルスの感染によって起こると推測されているが,病因は現在不明である。年長幼児,低学年児童に好発し,乳児や成人には少ない。春秋に多く発生し,保育所などの施設内での小流行がみられる。症状は,1~2週間の潜伏期ののち突然発疹が現れる。ときに微熱が出たりリンパ節が腫張することがある。発疹は,両ほおに対称性に生じ,鮮紅色のやや隆起した浮腫状の紅斑で,チョウのはねの形をなし,熱感がある。

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大辞林 第三版の解説

でんせんせいこうはん【伝染性紅斑】

顔面および四肢に境界明瞭な紅斑が多発する幼小児の疾患。頭痛・発熱などを伴うことがある。ウイルス性と推定されている。林檎りんご病。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

伝染性紅斑
でんせんせいこうはん

全身に特有な発疹(ほっしん)の現れる幼児や学童の伝染病で、まれに乳児や成人にもみられる。原因はパルボウイルスB19(parvovirus B19)。保育所などで小流行がみられ、流行季節はおもに春季、温暖の候で、一度かかれば終生免疫が得られる。潜伏期は1、2週間。前駆症状はほとんどなく、突然発疹が現れる。微熱が出たり、リンパ節が腫脹(しゅちょう)することもある。発疹は顔に初発し、腕や脚部、臀(でん)部によく現れ、胸、腹、背中にはあまりみられない。
 顔の発疹は、両頬(ほお)がリンゴのように一面に赤くなり、リンゴ病と俗称される。欧米ではslapped cheek disease(平手で頬をたたいたように赤くなる病気)とよばれている。四肢や臀部の発疹は、10円銅貨くらいの大小さまざまの赤い円形で、個々の発疹の周辺部はやや隆起して中心部の色が淡く、レース編み状または地図状を呈する。通常1週間前後で消失するが、日光に当たったり摩擦すると、再発を繰り返すことがあるので注意する。
 予後は良好で、特別な治療を要しないが、発熱があれば安静にし、皮膚のかゆみが強ければ抗ヒスタミン剤を用いるなど、対症療法が行われる。[柳下徳雄]

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