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伝統医学 デントウイガク

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デジタル大辞泉の解説

でんとう‐いがく【伝統医学】

長い歴史の中で、人々の知恵によって発展してきた医学。漢方薬を用いる療法や、インドアーユルベーダのほか、ヨーガ気功なども含むことがある。→伝統医療

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大辞林 第三版の解説

でんとういがく【伝統医学】

古代に始まり発達した治療法。現代医学に対比した呼称。東洋では、中国医学、インドのアーユル-ベーダ医学・ユナニ医学が存在する。漢方は日本で発達した中国医学の一変型。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

伝統医学
でんとういがく
traditional medicine

古代にすでに高度な文明を築いた地域(たとえばエジプトギリシア、インド、中国)においては医学的な治療体系をつくっており、それが現代まで続いている場合、それを伝統医学という。これらの古代医学では、人体は数種類の体液の調和によって成り立つととらえており、病気にかかるということは、外部から侵入した邪気によって体液の調和が破れることと考えている(これを体液病理説という)。病気治療に対しては、人体に備わっている自然治癒力(生命力)を刺激し、増強して体液の不調和をもとに戻すという考えから、薬物を使用する。たとえば感冒のときにアスピリンのような発汗解熱薬を使うのがそれで、病原ウイルスを殺したりすることは考えない。アスピリンは合成薬であるが、その治療原理は古代医術のものである。このように、生命体は合目的的に動くという立場にたつ考えを「生気論」という。
 古代ギリシア医学(ヒポクラテス医学)は、19世紀前半まではヨーロッパにおいても医学の主流であったが、近代医学の発展とともに、この立場は民間的な植物療法として残されていく。また、ギリシア医学はアラビア、インド、アフリカ北部にも伝わり、それぞれ「アラビア医学」「ユナニ医学」「コプト医学」として存在していく。また、インドには固有の伝統医学としてアーユルベーダ医学もあり、これは中世になってチベットに伝わり、「チベット医学」として存在している。古代中国に発達した医学は、現在でも「中(ちゅう)医学(中国医学)」として続いているだけでなく、韓国の「東(とう)医学(韓医学)」、日本の「漢方医学」、ベトナムの「ベトナム医学」として存在している。合成薬が最初につくられたのは1870年ころであるから、伝統医学で用いる薬物はすべて天産物(植物、動物、鉱物)であり、それを生薬(しょうやく)という。治療にあたっては、単味(一種類の処方)を用いることもあるが、多くは数種あるいは10種以上も組み合わせた複合処方である。
 19世紀後半においてヨーロッパで形成された近代医学は、細胞病理学、細菌学、機械論的生物観をその基礎としていることから、おもに合成薬を用いて病気を治療するものであった。しかし、伝統医学は、これとまったく異なる性格であったため、近代医学が発達するにつれて、非科学的であるとして無視され、消滅する方向をたどった。明治維新以後の日本において、ドイツ医学が導入され、漢方医学が排斥されていったのはその一例である。ところが第二次世界大戦以後になると、世界情勢はそれまでとは異なる動向を示すようになる。すなわち、アジアとアフリカにおける多数の新国家の成立である。インドが1947年にイギリスから独立したとき、ネール首相は、伝統医学と西洋医学とを、衛生行政の面においても、医学教育の面においても、同等に取り扱うという政策を発表している。また、1949年に中華人民共和国が成立したとき、毛沢東(もうたくとう)主席は中医学と西洋医学とを併存させるという政策を発表した。これらが、近代国家が伝統医学の価値を再認識した始まりである。その後、WHO(世界保健機関)が後進諸国の衛生と治病について援助をする際、近代医学の立場から抗生物質や新合成薬を使う治療法を指導しようとしたが、成功しなかった。原因としては、多くの医療関係者を養成するのに年数がかかりすぎること、新薬を引き続き輸入する経済力がないことなどがあげられ、結果として、それぞれの地域に古くから存在する伝統医学、伝承医学関係者や呪術(じゅじゅつ)者を重視する方針をとらざるをえなくなった。また、1970年ころに中国で鍼(はり)麻酔による手術が成功し、世界に発表されたことは、世界的な規模で伝統医学を再認識するうえで大きな影響を与えた。伝統医学は、今後も近代医学とは異なる立場にたって歩んでいくと思われる。[長沢元夫]

伝承医学

世界のすべての種族と民族は、伝統医学のように体系化されていないが、それぞれ病気の治療について長い年数にわたる独自の経験をもっていて、それを口伝えしたり、なかには書き残している場合もある。これを伝承医学という。これに基づく治療法を民間療法、使用する薬物を民間薬と称するが、科学的医療と比べて、一般に甚だしく医学的根拠の低いものと考えられている。日本の民間薬としてはセンブリ、ゲンノショウコ、オオバコ、ドクダミなどが有名であるが、これらの薬草を医師は使用していない。しかし、オーストラリア、ニューギニア、アフリカなどで現在も原始的な生活を続けている小種族にあっては、その呪術と薬物治療の知識によって、抗生物質を使用したときよりも短期に病気を治療する例が報告されている。こうしてみると、伝承医学のすべてを低級なものとみなすのは間違っているようである。たとえば、現在使用されているストロファンチン(強心剤)、ヨヒンビン(血管拡張剤)、エゼリン(副交感神経末梢興奮剤)などの薬物は、アフリカの一部で古くから使われていた植物中から発見されたものであることはそれを物語っている。しかし、これらの伝承医学は、その地域に近代医学が導入されたり、第二次大戦後の日本のように多くの家庭が核家族化して世代間の交流がなくなると、急速に消滅していくものといえる。[長沢元夫]

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世界大百科事典内の伝統医学の言及

【民間療法】より

…また,日本では明治以後,西洋医学が主流となり,漢方医学は医療類似行為として,医療行政や医学教育から排除され,その結果,民間で細々と実施されるにすぎなくなったことから,鍼灸(しんきゆう)やあんま(按摩)など漢方医学的治療も民間療法とされてきた。しかし,近年では,他の民間療法とは異なり,独自の体系をもつことから,伝統医学の名で,民間療法とは別の扱いをされることが多くなってきた。 人類はその誕生以来,外傷や病気に対して,これを治療し,健康を維持するための種々のくふうを行ってきた。…

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