精選版 日本国語大辞典 「使番」の意味・読み・例文・類語
つかい‐ばんつかひ‥【使番】
- 〘 名詞 〙
- ① 織田・豊臣時代の職名。戦時には伝令使となり、また、軍中を巡視する役にも当たった。つかいやく。
- [初出の実例]「うたせようたせよと使番母衣之者を以て仰付られしかば」(出典:太閤記(1625)六)
- ② 徳川幕府の職名。若年寄の支配に属し、戦時は軍陣中を巡回・視察し、伝令の役を果たし、平時には諸国に出張して、遠国の役人の能否を監察したり、将軍の代替わりごとに大名の動きを視察したり、江戸市中に火災ある場合は、その状況を報告するなどの任に当たった。旧称は使役。
- [初出の実例]「公儀沙汰かりそめながら是とても〈卜尺〉 覚書見て行使番〈一朝〉」(出典:俳諧・談林十百韻(1675)下)
- 「福崎軍平といへる人、御使番(ツカヒハン)を勤め」(出典:浮世草子・武道伝来記(1687)二)
- ③ 江戸時代、将軍家の大奥の女中の職名。また、大名の奥女中付の女。
- [初出の実例]「女臈がしら其一人、つかひ番の女を頼み」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)四)
- ④ 使い走りの役をする人。
- [初出の実例]「方方へ雪のあしたの使ひ番 鍬をかたげて孝行の道」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第一)
- 「茶の間の役、湯殿役、又は使(ツカヒ)番の者も極め」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)二)