デジタル大辞泉
「侘びる」の意味・読み・例文・類語
わ・びる【×侘びる】
[動バ上一][文]わ・ぶ[バ上二]
1 さびしく思う。心細がる。「独り暮らしを―・びる」
「人―・びて淋しき宵を」〈漱石・虞美人草〉
「つれづれ―・ぶる人はいかなる心ならん」〈徒然・七五〉
2 落ちぶれてみすぼらしいさまになる。
「―・びた荒壁の塀の屋根の」〈谷崎・蓼喰ふ虫〉
「古へは奢れりしかど―・びぬれば舎人が衣も今は着つべし」〈拾遺・物名〉
3 さびしく落ち着いた趣がある。「―・びた鄙歌」
「北野の大茶会では、同じように―・びた構えが」〈野上・秀吉と利休〉
4 (動詞の連用形に付いて)なかなかある動作・行為をしきれなくて困る。そうする気力が失せる。…しかねる。「待ち―・びる」「恋い―・びる」
5 あれこれと思いわずらう。悲観して嘆く。思い悩む。
「山高み人もすさめぬ桜花いたくな―・びそ我見はやさむ」〈古今・春上〉
6 困ったようすをする。迷惑に思う。
「にはかにと、―・ぶれど、人も聞き入れず」〈源・帚木〉
7 閑寂な境地を楽しむ。「―・びてすめ月侘斎がなら茶歌/芭蕉」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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わ・びる【侘・詫】
- 〘 自動詞 バ上一 〙
[ 文語形 ]わ・ぶ 〘 自動詞 バ上二段活用 〙 - ① 気力を失って、がっくりする。気落ちする。
- [初出の実例]「言はむすべも無く為むすべも知らに、悔しび賜ひ和備(ワビ)賜ひ」(出典:続日本紀‐宝亀二年(771)二月二二日・宣命)
- ② 困惑の気持を外に表わす。迷惑がる。また、あれこれと思いわずらう。
- [初出の実例]「其の神の嫡后(おほきさき)須勢理毘売命、甚く嫉妬(うはなりねたみ)為(し)たまひき。故、其の日子遅の神和備弖(ワビテ)〈三字は音を以ゐよ〉」(出典:古事記(712)上)
- 「をかし、男、五十余りなりける女を、まうけける事と、わびける人の返しに」(出典:仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)上)
- ③ 思うようにならないでうらめしく思う。つらがって嘆く。また、心細く思う。
- [初出の実例]「秋の夜はつゆこそことにさむからしくさむらごとに虫のわぶれば〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・一九九)
- 「つれづれわぶる人はいかなる心ならん」(出典:徒然草(1331頃)七五)
- ④ おちぶれた生活を送る。みすぼらしいさまになる。
- [初出の実例]「きのふはさかえおごりて、時をうしなひ、世にわび」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- 「Vabita(ワビタ) テイデ ゴザル」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- ⑤ 世俗から遠ざかって、とぼしい中で閑静な暮らしに親しむ。閑寂を楽しむ。
- [初出の実例]「ことさらこの須磨の浦に心あらん人は、わざとも侘びてこそ住むべけれ」(出典:謡曲・松風(1423頃))
- ⑥ 困りぬいて頼み込む。困って嘆願する。
- [初出の実例]「ただゆるし給はらんとわびければ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一一)
- 「かくばかり落ぬる柿を見ず。きのふの価、かへしくれたびてむやと佗(ワブ)」(出典:俳諧・本朝文選(1706)五・記類・落柿舎記〈去来〉)
- ⑦ ( 詫 ) 困惑した様子をして過失などの許しを求める。他動詞的にも用いる。あやまる。
- [初出の実例]「わび申す由聞かせ参らせよと宣ひければ」(出典:今鏡(1170)六)
- ⑧ ( 他の動詞の連用形に付いて ) その動作や行為をなかなかしきれないで困るの意を表わす。…しあぐむ。
- [初出の実例]「やよやまて山郭公ことづてんわれ世中にすみわびぬとよ〈三国町〉」(出典:古今和歌集(905‐914)夏・一五二)
- 「ヒトヲ タヅネ vaburu(ワブル)〈略〉 Machivaburu(マチワブル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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