供給予備率(読み)きょうきゅうよびりつ

共同通信ニュース用語解説 「供給予備率」の解説

供給予備率

電力需要に対し電力会社の供給力が、どの程度余力を持っているかを示す比率電力需給の見通しを示すのに使われる。8%が安定供給の基準発電所からの供給増加や、省エネ節電による電力需要の減少で予備率は上昇する。突発的な供給力低下も想定した上で最低限必要とされる水準は3%で、下回れば電力不足が懸念され節電要請が行われる可能性がある。マイナスの場合は大規模停電が発生する恐れもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「供給予備率」の意味・わかりやすい解説

供給予備率
きょうきゅうよびりつ

電力需要のピークに対し、供給力にどの程度の余裕があるかを示す指標。電力供給予備率ともいう。供給力から予想最大需要を差し引いた値を、予想最大需要で割って算出する。供給予備率が高い数値であるほど供給力に余裕があり、マイナスの場合には供給力が不足していることを意味する。電気は大量に貯めておくことがむずかしく、発電と消費が同時に行われる。このため発電所の事故や故障猛暑渇水などの異常気象天候の急激な変動景気変動などを原因とする需要増や供給力低下に備え、つねに電力供給力にゆとりをもたせておく必要がある。2011年(平成23)の東日本大震災以前は、日本では7~10%の供給予備率を確保するのが普通であった。しかし東京電力福島第一原子力発電所事故後に多くの原子力発電所の稼動が停止したため、供給予備率が低下し、2014年夏の場合、電力9社合計で供給予備率は4.6%にとどまっている。

 電力需要は一定時間の平均値に対して上下3%程度の振れがあることから、電力を安定供給するためには、供給予備率を最低でも3%以上にする必要があるとされている。需要が供給力を上回った場合には電圧低下や周波数の乱れが生じ、深刻な電力不足に陥ると大規模停電を招きかねない。このため供給予備率が3%を下回ると予想される場合、電力会社は計画停電の実施や大口需要家への使用制限を求めることがある。東日本大震災後には計画停電を実施し、2011年夏には東京電力と東北電力管内で工場などに対して電力使用制限令が発動された。一方、供給予備率を上回る電力については、需要が逼迫(ひっぱく)している他の電力会社へ融通(電力融通)することがある。

[編集部]

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