価原(読み)かげん

改訂新版 世界大百科事典 「価原」の意味・わかりやすい解説

価原 (かげん)

江戸中期の思想家三浦梅園和文の著。1773年(安永2)筆。題名は価(賃金物価)とは何か,価の本質,の意。河上肇が1905年《国家学会雑誌》で,ついでまた福田徳三が,それが貨幣数量説(〈金銀多ければ物価貴し金銀少ければ物価賤し〉),グレシャムの法則(〈悪幣盛んに世に行はるれば精金皆隠る〉)を主張していることを指摘して以来,江戸時代の経済論,貨幣論の傑出したものとして有名になったが,論は広く政治政策論にも及んでいる。梅園が,明治時代一般に知られるようになったのは,この1編によってである。永らく写本をもって伝わり,1913年《梅園全集》で活字化された。三枝博音編《三浦梅園集》(岩波文庫)にも収める。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「価原」の意味・わかりやすい解説

価原
かげん

三浦梅園(ばいえん)が1773年(安永2)ごろに著した経済書。梅園の哲学条理学」を当時の経済問題――奉公人賃銀の変動農民離村、農産物価格の不安定性など――に適用し、作物の豊凶・貨幣流通量・物価・労賃の間の基本的関係を考察している。その分析方法「条理学」は、明(みん)末清(しん)初の中国の自然哲学などを梅園が吸収して独自に体系化したものであるが、本書でも経済現象を仮想の一島に抽象化して考察するなど、その科学的方法は注目すべきものであり、欧米の経済学や学問的方法との類似も指摘されている。

[島崎隆夫]

『三枝博音編『三浦梅園集』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価原」の意味・わかりやすい解説

価原
かげん

三浦梅園著。1冊。安永2 (1773) 年成立。江戸時代の商品経済における価格について説明した経済書。『日本経済叢書』『日本経済大典』に所収

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