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傾斜流 けいしゃりゅうslope current

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

傾斜流
けいしゃりゅう
slope current

気圧の差や風の吹き方で海面傾斜ができると,圧力傾度が生じる。そのために海中の圧力分布と平衡を保つように海水が移動する。この流れを傾斜流という。海底摩擦などのない理想的な海では傾斜の方向に流れるが,海底摩擦の影響が考えられる十分深い海では傾斜と直角方向の流れが海表面に生じる。

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デジタル大辞泉の解説

けいしゃ‐りゅう〔‐リウ〕【傾斜流】

海水の流れの一種。風や気圧の変化、河水流入などにより海面に傾斜ができると、海中の圧力分布と平衡を保つために生じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

傾斜流
けいしゃりゅう
slope current

海水の定常運動の一種。海面が(水準面に対して)傾斜しているとき、海水は重力によって傾斜面を滑り落ち、傾斜を解消しようとする。北半球で海水が、水平方向に、傾斜面の高いほう(高圧部)を右手に、低いほう(低圧部)を左手に見て流れると、この流れに伴うコリオリの力は、傾斜面を滑り落とそうとする重力(の分力)とちょうど逆向きになる。コリオリの力と重力(の分力)という二つの力の大きさが等しければ、海水は傾斜面を滑り落ちず、海面傾斜も流れも存続する。この流れを傾斜流という。海面傾斜が原因で傾斜流が流れるとか、傾斜流が原因で海面傾斜が生ずるといった因果関係とはかかわりなく、力のつり合いを示す用語である。
 傾斜流は海面等高線に平行に、北半球では高いほうを右手に、南半球では(コリオリの力の向きが逆になるので)低いほうを右手に見て流れる。海水中の圧力は、海面の高さと海水の密度によって決まる。コリオリの力と海面の高さの差(傾斜)にかかわる流れが傾斜流であり、密度の差にかかわる流れが密度流であり、傾斜流と密度流の和が地衡(ちこう)流である。
 緯度35度で水平距離100キロメートルに対して1メートルの高低差の傾斜なら、傾斜流の速さは毎秒約1.2メートルとなる。黒潮流域では日本列島側から沖に向かって、時と場所によって変わるが海面はだいたい100キロメートルについて1~2メートル高くなっている。なお、コリオリの力は赤道では0、赤道の近くでは非常に小さくなるので、赤道とその近くでは力のつり合いが変わって、海面傾斜は存在するが傾斜流は存在しない。[高野健三]

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世界大百科事典内の傾斜流の言及

【海流】より

… 海流をその原因によって分類することが昔から行われてきた。そこで便宜上例えば,吹走流(風の応力でできる流れ),傾斜流(海面傾斜によるもの),密度流(海水の密度差に起因するもの),補流(ある海域の水がなんらかの原因で流れ去るとその分を補うため他から海水が流れてくる)などの言葉を使うことがあるが,もともとこれらを含めて複雑な要因がからみ合って一つの海流を形成するのであるから,上記の分類で海流をはっきり区別するのは無理がある。 このほか,実生活上よく使われる分類として暖流と寒流があるが,科学的には厳密さを欠く分類法で,二つの海流が接している時に温度の高い方を暖流,低い方を寒流と呼んで区別するのに便利だという程度の意味である。…

※「傾斜流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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