精選版 日本国語大辞典 「僭」の意味・読み・例文・類語 せん【僭】 〘 名詞 〙 分限を越えた言動をすること。身分不相応におごること。僭越。[初出の実例]「三代を祭るといへどもただ一室にまつりて廟なし僭といふべからず」(出典:制度通(1724)七)[その他の文献]〔潜夫論‐浮侈〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「僭」の読み・字形・画数・意味 僭14画(異体字)僣14画 [字音] セン・シン[字訓] おかす・たがう・そしる[説文解字] [字形] 形声声符は(しん)。は(しん)((かんざし))を、祝を収める器(曰(えつ))の上に加えて、人を呪詛する意。〔説文〕八上に「假(か)るなり」、〔玉〕に「(なぞら)ふなり」とあって、僭上の意とする。〔詩、小雅、鼓鍾〕「を以てし南を以てし 籥(やく)を以てして僭(たが)はず」とあり、節度や次序を誤ることを僭という。譖毀(しんき)してその節度を破る意で、それより僭上・僭越の意となる。僣(てつ)は狡猾をいう字であるが、潛(潜)の例によって僭を僣に作ることがある。狡猾の僣は、ほとんど用いることのない字である。[訓義]1. おかす、たがう、そしる、呪詛する。2. おごる、なぞらえる。3. まことがない、みだれる。[古辞書の訓]〔新字鏡〕僭 奈須良不(なずらふ)〔名義抄〕僭 アヤマチ・タガフ・シバシバ・ヒトシ・ヌスミ・セム・アリ・ヲコル 〔立〕僭 アガル・ヒトシ・カリス・ヌスミ・トガ・タガフ・ナズラフ・ヲコル・シバシバ[語系]僭tsm、譖tzhimは声義近く、譖(しん)は〔説文〕三上に「(うつた)ふるなり」とあり、もと神に訴えて呪詛する意。・tsmもみな譖訴の意を含む。や(くし)の類は、わが国でも古く呪詛に用いたことがある。[熟語]僭位▶・僭▶・僭越▶・僭偽▶・僭擬▶・僭▶・僭逆▶・僭君▶・僭号▶・僭傲▶・僭差▶・僭詐▶・僭雑▶・僭侈▶・僭恣▶・僭奢▶・僭主▶・僭称▶・僭窃▶・僭断▶・僭忝▶・僭▶・僭慢▶・僭妄▶・僭逾▶・僭乱▶・僭濫▶・僭礼▶[下接語]華僭・姦僭・欺僭・驕僭・奢僭・尚僭・上僭・踰僭・優僭 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報