百科事典マイペディア 「元禄の大火」の意味・わかりやすい解説
元禄の大火【げんろくのたいか】
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1697(元禄10),98,1703年の江戸の大火。元禄時代には大火,小火が頻発したが,江戸の人口増加による人口密集が大きな原因だった。1697年10月17日昼,大塚の善心寺から出火,西風(のち北西風)にあおられ小日向(こびなた),築土(つくど),牛込,飯田町,麴町,番町,代官町を焼き,類焼した旗本屋敷363という大火に始まる。翌年9月6日未明には,新橋南鍋町から出火,強い南風のため遠く北方の千住まで延焼,大名屋敷83,旗本屋敷225,寺院232,町屋1万8703戸,326町を焼いた。寛永寺根本中堂が落成して,この日勅額が江戸に入ってきたことにちなみ,中堂火事,勅額火事とも呼ばれる。また1703年11月29日夜,小石川水戸藩邸より出火,強い南西風により本郷,下谷,浅草を焼き,北西風に変わると両国橋を焼き,本所,深川まで延焼,翌日午後ようやく鎮火した。この大火は〈水戸様火事〉と呼ばれ,大名屋敷300余,町屋2万余,多くの寺社を焼失,南北8km,東西12kmがまったくの焼野原となった。
執筆者:池上 彰彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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