八百津(読み)やおつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「八百津」の意味・わかりやすい解説

八百津(町)
やおつ

岐阜県中南部加茂郡(かもぐん)にある町。1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)和知(わち)村を編入可児(かに)郡錦津(にしきつ)村と合併、美濃加茂(みのかも)市の一部を編入。1956年潮南(しおなみ)、福地(ふくち)、久田見(くたみ)の3村を編入。かつては水運による木曽川(きそがわ)最上流の湊(みなと)町として栄えたが、中央本線などの陸上交通の発達や木曽川にダムが建設されるなどにより、町勢は停滞ぎみとなった。国道418号が通じる。名古屋鉄道八百津線は2001年バスに転換した。農業の中心は米作林業も盛んで、東濃ヒノキの産地となっている。工業は、特産煎餅(せんべい)や栗きんとんなどの食料品製造や金属製品製造中心。製品出荷額では輸送用機器、プラスチック製品が多い。木曽川には丸山ダムや景勝地丸山蘇水(そすい)湖、蘇水峡などがある。東部高原の久田見の糸切りからくり(操り人形浄瑠璃(じょうるり))は国指定選択無形民俗文化財。1998年(平成10)には木曽川水系で最初の本格的発電所(1911年完成)である「旧八百津発電所施設」が国の重要文化財に指定された。面積128.79平方キロメートル、人口1万0195(2020)。

[上島正徳]

『『八百津町史』全2冊(1972、1976・八百津町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「八百津」の意味・わかりやすい解説

八百津[町] (やおつ)

岐阜県南部,加茂郡の町。人口1万2045(2010)。南部を西流する木曾川低地と,木曾山脈に連なる標高500m前後の山地から成る。中心集落黒瀬は中世末期以来木曾川最奥の河港として栄え,その対岸錦織(にしこおり)には近世初期に綱場が設置され,上流からの木曾材がここでいかだに組まれて川下げされた。明治中期以降舟運は衰え,大正期には製糸業が栄えた。現在は農業を主とし,せんべいなどの食品製造や撚糸の伝統産業も行われている。
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百科事典マイペディア 「八百津」の意味・わかりやすい解説

八百津[町]【やおつ】

岐阜県南部,加茂郡の町。南部を木曾川が西流し,木曾山脈に連なる山地からなる。中心の八百津はかつて河港として繁栄。撚糸業,弱電気部品などの工場があり,せんべいを特産。愛知用水の兼山取水口,飛騨木曾川国定公園に属する蘇水峡がある。128.79km2。1万2045人(2010)。

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