公所(読み)こうしょ

精選版 日本国語大辞典 「公所」の意味・読み・例文・類語

こう‐しょ【公所】

〘名〙
おおやけ場所。私的な権利が通用しない場所。
醍醐寺新要録(1620)「彼宿所有小児之狼藉其難、専被公所之由、所打也」
中国で、同業者同郷者の団体がつくっていた相互扶助組織などの事務所、集会場として建てられた施設

おおやけ‐どころ おほやけ‥【公所】

〘名〙
朝廷官庁。また、宮中
※宇津保(970‐999頃)祭の使「おほやけどころの人目騒がしきによりてなん、人知れずはからひ申すべきことなんある」
皇室、朝廷、国家などの所有地公有地
源氏(1001‐14頃)手習「故朱雀院の御両にて宇治の院といひし所〈略〉『いと、よかなり。おほやけ所なれど、人もなく心安きを』」

く‐じょ【公所】

〘名〙 公事を扱う所。役所官衙(かんが)
曾我物語(南北朝頃)一「祐経は、たれをしゆるともなきに、くしょをはなれず、奉行所におきて、身をうたせ、沙汰になれける程に」

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デジタル大辞泉 「公所」の意味・読み・例文・類語

おおやけ‐どころ〔おほやけ‐〕【公所】

朝廷。官庁。また、宮中。
「―に入りたちする男、家の子などは」〈・二六八〉
朝廷の所有地。官有地
「(宇治院ハ)―なれど、人もなく、心安きを」〈・手習〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「公所」の意味・わかりやすい解説

公所
こうしょ

中国で同郷、同業、同窓などの団体が会合や宿泊のために設けた施設である会館(かいかん)の呼び方の一つ。

[編集部]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「公所」の解説

公所(こうしょ)

会館(かいかん)

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旺文社世界史事典 三訂版 「公所」の解説

公所
こうしょ

会館・公所

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公所」の意味・わかりやすい解説

公所
こうしょ

会館」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の公所の言及

【会館】より

…中国で同郷人または同業商工業者のグループが,北京はじめ異郷の都市において,相互の親睦,経済活動,訴訟,宿泊,貧者救済,死者の葬送などの目的で建てた建物。公所ともよばれる。会館という名称が生まれたのは明代で,明末から清代に発達したが,唐・宋時代,首都に設けられた地方出身の官吏・学生・商人らの集会所,宿泊所がその前身であろうといわれる。…

【救貧制度】より

…また施設の人員としては得度前の童行(どうぎよう)が多く加わっていた。 明・清時代になると制度的には官営救貧施設はますます整備,細密化するが,全国に広く置かれるようになった会館,公所など同郷地縁団体を軸とする救済機関のほうが現実には有効な機能を果たし,これまた著しく多様化した。これらはすべて鎮,県以上の都市の貧民救済を目的とし,農村を中心とした常平倉社倉や,災害時の臨時的な救済とは制度を異にしている。…

【ギルド】より

…行役は1073年(熙寧6)に免行銭として銭納化されたが,政府と行の関係は南宋時代も続いている。明・清時代になると,商人たちは都市に公所と呼ばれるギルド・ホールを持つことが一般化する。そこでは董事(とうじ)を頂点とした組織や規約が作られ,商人たちは一般的にそれを厳守した。…

【商業】より

…だから,この時期にあっては,行とは同業組合を意味するとともに,特定の商業を指す用語でもあった。明末から清代にかけて,全国各地の都市には会館または公所と名づけられる建物が建てられたが,これには同郷の人々が協力して建てたものと,同業の商人が設けたものとがあった。後者は業種を同じくする商人の団体,つまり行が集会所として建てたもので,ヨーロッパ中世のギルド・ホールに類した建物であった。…

※「公所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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