改訂新版 世界大百科事典 「公社公団」の意味・わかりやすい解説
公社・公団 (こうしゃこうだん)
政府関係の公社には,日本電信電話公社,日本専売公社,日本国有鉄道があり,いずれも100%政府出資の公企業であったが,前2者は1985年,日本国有鉄道は87年にいずれも民営化された(各項参照)。地方公共団体関係の公社には,地方住宅供給公社,地方道路公社などがある。公団には,住宅・都市整備公団や日本道路公団などがあったが,行財政改革の流れの中で,2000年から05年にかけていずれも独立行政法人化されたり,民営化(株式会社)されている。
公社のうち,日本国有鉄道と日本電信電話公社は,運輸・通信部門における社会資本の整備と運用を目的にしたが,公団と異なって公益事業の公共部門による運営という側面があり,独立採算制が原則であった。他方,日本専売公社は税による財政収入の確保を目的とした。これらの公社は,監督官庁の直接的な規制を受けただけでなく,予算の審議,決算報告などを通じて国会の規制も受けた。公団の目的は,それぞれの特定分野における社会資本の建設と維持・管理を行い,利用者から料金を徴収して,独立採算の原則のもとにそれを運用することである。公団は各事業年度の予算・事業計画・資金計画・決算について主務大臣の承認をえなければならない。
公社・公団に類似した組織として事業団がある。事業団は公社・公団にくらべると,社会福祉,科学技術開発,国際協力の促進など目的が多様である。事業団もそのほとんどが公団と同様に,2000年から05年にかけて独立行政法人などに改組された。
執筆者:奥野 信宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報