第二次世界大戦後から21世紀初頭にかけての日本における、公社・事業団と並ぶ公企業の主要形態の一つ。「特殊法人等整理合理化計画」(2001)によって、すべて独立行政法人(名称は「独立行政法人○○機構」)に移行し、または民営化された。以下は、移行・民営化前の公団の説明である。
企業形態としての公団は、行政組織から独立した法人格をもち、一定の経営上の自主性を与えられた公企業の一種で、公共企業体(公社)、事業団、公庫、金庫とともに特殊形態公企業に属していた。日本国有鉄道・日本電信電話公社・日本専売公社の三公社は巨大国営事業を、公庫・金庫は政策金融実施事業を、公団・事業団は非金融政策実施事業を、それぞれ遂行した。公団がより広範囲で恒久的な基本政策の実施に関係していたのに対し、事業団は比較的限定された経済・社会・産業の各政策や公共的開発事業等に関係していた。したがって全体としては、公団の規模は事業団よりも大きかった。公団はそれぞれ独自の特別立法によって設立されたから、目的、業務内容、資本構成、公法上の特権等の点で若干異なっていたが、総裁(理事長)・副総裁(副理事長)・理事・監事による業務管理、企業会計方式による財務・会計の処理、政府の監督、役員と職員への公務員法の適用などは、ほぼ同一の内容になっていた。
公団の前身は、第二次世界大戦中の営団や統制会にある。それらは、統制経済を推進するためのものであったが、戦後、経済の復興・再建と国民生活の安定を推進するために、多くが公団に衣替えされた。その結果、統制のための石炭、石油、肥料、酒類、飼料、油糧、食糧の各配給公団と、繊維貿易、価格調整、産業復興、船舶の各公団が生まれた。これら戦後対策のための公団は、1961年(昭和36)までに逐次廃止され、以後は社会資本の基盤整備事業のために設置されるようになった。それらは、政府全額出資のものと政府と地方公共団体が共同出資するものとに大別される。
公団の独立行政法人への移行は、1998年(平成10)の中央省庁等改革基本法による国の行政機関の再編成と効率化のための特殊法人改革に即している。具体的には、日本住宅公団が都市基盤整備公団を経て地域振興整備公団の一部(地方都市開発整備部門)と統合されて都市再生機構へ、日本鉄道建設公団が鉄道建設・運輸施設整備支援機構へ、水資源開発公団が水資源機構へ、地域振興整備公団の一部(産業系開発部門)が中小企業基盤整備機構へ、などの例がある。
[森本三男]
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…いずれも国家の全額または半額出資になるもので,株式会社に依存してきた従来の国策会社を,政府の監督のもとにいちだんと強化したもので,政府任命の官選理事による運営をとおして,戦時企業統制を推進した。第2次世界大戦後は帝都高速度交通営団をのぞいて,公団への再編成なども図られたが,それらの公団も51年までに順次廃止された。現在ある公団はその後新たに設立されたものである。…
… 公企業の第2の形態に公共法人がある。これには,国民金融公庫,住宅金融公庫,農林漁業金融公庫,中小企業金融公庫,日本輸出入銀行,日本開発銀行などの公庫および銀行,住宅・都市整備公団,日本道路公団,水資源開発公団,日本鉄道建設公団,新東京国際空港公団,本州四国連絡橋公団などの公団および各種の事業団がある(事業団については,政府の補助金を支出する機関としての性格をもっているものも多く,公企業に含めるかどうかについては異論がある)。これらのうち,公庫はいずれも政府が100%出資している法人であり,公団は政府や自治体および公社が共同出資している法人である。…
…地方公共団体関係の公社には,地方住宅供給公社,地方道路公社などがある。公団には,住宅・都市整備公団,日本道路公団,森林開発公団,船舶整備公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団,水資源開発公団,日本鉄道建設公団,地域振興整備公団,農用地整備公団,新東京国際空港公団,本州四国連絡橋公団,石油公団がある(1996年度末現在)。これら公団は,政府,地方自治体,公社等の公共部門が出資している公共法人である。…
…その法律上の定義は〈法律により直接に設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人〉(総務庁設置法4条11号)とされている。前者はいわゆる三公社(1984年末現在)であり,後者は公団・事業団その他であるが,後者の場合,政府の任命する設立委員による設立行為がメルクマールとされる。いわば,政府の手による強制設立の法人を指す。…
※「公団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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