大学などで、地域の住民など一般の人に対して提供される生涯学習の場。オープンカレッジやエクステンション講座ともいう。大学、公民館、図書館、博物館、公立の研究所、放送を利用した大学講座など、多くの施設でさまざまな公開講座が開設されている。また、民間のカルチャースクールやスポーツジム、企業などが、公開講座と銘打って学びの場を開設する場合もある。
公開講座設置の動きは、文部省(現、文部科学省)が1973年度(昭和48)に成人教育の振興を図る研究を開始したことに始まる。その後、1976年度に大学が組織的に公開講座を開設できるようになった。翌1977年度からは、成人大学講座の設置に対して国からの補助が受けられるようになり、公開講座を開設する動きが全国的に広がった。以降、人口の高齢化が社会問題となるなかで、高齢者の学習活動や人材活用事業をはじめ、介護や福祉におけるボランティア養成などの公開講座が盛んに開設されるようになった。さらに大規模公開オンライン講座MOOCs(ムークス)が開設されるなど、インターネット環境が整っていれば、世界中の大学の開講科目を簡単に受講できるようになった。従来の公開講座には、履修を記録する仕組みがないため、履修証明制度を創設して、単位や資格の取得に役だてる新たな活用促進の取り組みも進んでいる。
文部科学省によれば、ほとんどの大学や短期大学で公開講座が開かれており、公開講座専門の部署を学内に設置している大学が6割を超えている。2011年度(平成23)に大学と短期大学によって開設された公開講座数は約3万7000で、総受講者数は約140万人であった。実施された講座の内容は、人文教養系、語学系、育児・医療・福祉系の3分野で全体の6割近くを占めており、人気が高かったのは人文教養系、育児・医療・福祉系、芸術系、社会問題系、地域課題解決系などの分野であった。
[編集部]
大学など教育研究機関が,社会人を対象に教育研究の成果を講義する大学開放の一形態。イギリスでは,大学を広く社会に開放する理念のもと,1870年代にケンブリッジ大学が取り組み,20世紀にはハーヴァード大学,イェール大学などアメリカ合衆国の大学にも広がった。日本では1919年に直轄学校による公開講演会などが成人教育事業として始まったが,欧米の取組みが,社会改良や特権階級以外への大学教育の普及という理念を持っていたのに対し,思想善導的性格が強かった。戦後は,1964年に社会教育審議会答申で大学開放の促進が提言され,急速に広がった。2010年で約2万8000の講座が全国で開設され,受講者は120万人近くに及び,教員免許更新のための講習のような職業資格と結びつくものから,教養・啓蒙,社会人の学び直しなど多様な内容がある。また収入確保の手段,自治体との連携,大学のイメージアップなど多様な目的を持っている。
著者: 羽田貴史
[生涯学習と公開講座]
大学設置基準に公開講座実施の規定はないが,学校教育法107条に規定があり,各大学の通則で定められている。一般に社会人向けであることが多く,生涯学習のあり方の一形態である。大学における学術・教育研究の成果を社会に還元するためや,最新の研究成果を公開するために開講される場合もある。参加者から見れば,大学の豊富な知的資源を入手する機会ともなる。当該地域に大学が少なければ,公開講座は地域連携事業の中核をなす場合もある。社会人が求める資格取得を支援するような大学の公開講座は少ない。一方,大学以外の関連機関が運営する資格取得のための社会人向け有料講座は,英語検定,ソフトウェア,簿記,宅建,気象予報士,社会保険労務士など多彩な内容が用意されている。大学と地域住民との間の期待するものの相違解消が今後の課題である。
著者: 細川敏幸
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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