共沈(読み)キョウチン(その他表記)co-precipitation

デジタル大辞泉 「共沈」の意味・読み・例文・類語

きょう‐ちん【共沈】

水溶液中で、ある物質沈殿するときに、単独では沈殿しない他の物質も誘発されてともに沈殿すること。微量物質の分離濃縮などに利用

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精選版 日本国語大辞典 「共沈」の意味・読み・例文・類語

きょう‐ちん【共沈】

  1. 〘 名詞 〙沈殿物を多量に生成させて、共存する目的イオンもそれに取り込んで沈殿させること。

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改訂新版 世界大百科事典 「共沈」の意味・わかりやすい解説

共沈 (きょうちん)
co-precipitation

沈殿が生成する際に,沈殿の主(成分)物質以外に,単独にあれば沈殿しないはずの他の物質が,あたかも主物質の沈殿生成に誘発されたかのように,主物質の沈殿とともに沈殿する現象を,共沈または共同沈殿という。たとえば,硫酸バリウムBaSO4は水に対して難溶性の物質である。したがって塩化バリウムBaCl2や硝酸バリウムBa(NO32などのように水に可溶な物質の水溶液に,同様に水に可溶な硫酸カリウムK2SO4のような硫酸イオンSO42⁻を含む水溶液を加えると,バリウムイオンBa2⁺とSO42⁻とは選択的に作用し合って,BaSO4を生成し,沈殿する。しかし,その際に生成する白い沈殿にはBaSO4ほかに,Ba(NO32やK2SO4がBaSO4の表面に吸着するか,あるいはその内部に吸蔵されるかして共沈する可能性がある。この場合に,もし溶解度の異なるBaCl2やBa(NO32のような主物質の構成イオンを共通にもつ複数の物質が共存するときには,溶解度の小さいほうの物質(ここではBa(NO32)が共沈しやすい傾向がある。また硫酸バリウムと硫酸鉛PbSO4,塩化銀AgClと臭化銀AgBrなどのように類似している物質の間では,同形結晶をつくる傾向があるので,混晶をつくり共沈することがある。共沈用の沈殿物として添加される物質を担体という。
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百科事典マイペディア 「共沈」の意味・わかりやすい解説

共沈【きょうちん】

化学的性質の似た元素が共存している場合,そのうちのある種の物質を沈殿・分離させようとすると,単独では沈殿しないはずの他の物質が前者に伴って沈殿する現象。たとえば塩化バリウム溶液に硫酸カリウム溶液を加えると,硫酸バリウムの沈殿とともに多量の硫酸カリウムが共沈する。沈殿や結晶に不純物が混じる原因にもなるが,逆にこれを積極的に利用して微量元素の分離,濃縮などに用いられる(共沈法)。共沈用の沈殿物として添加される物質を担体という。
→関連項目沈殿

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化学辞典 第2版 「共沈」の解説

共沈
キョウチン
coprecipitation

沈殿が生成するときに,それ自身では十分溶解する(溶解度積に達しない)ほかの物質が同時に沈殿すること.たとえば,硫酸バリウムが沈殿する際のカリウム,アンモニウムラジウムなどのイオンが共沈する現象や,水酸化クロムが沈殿する際の亜鉛,マグネシウムなどのイオンが共沈するなどが有名である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「共沈」の解説

共沈

 →共沈殿

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