内奏(読み)ないそう

精選版 日本国語大辞典 「内奏」の意味・読み・例文・類語

ない‐そう【内奏】

〘名〙
① 内々に天皇に奏請すること。内密に奏上して願うこと。
※権記‐長保二年(1000)九月一一日「而神祇大副理望経内奏」 〔後漢書‐竇武伝〕
中世、特に南北朝時代、所領をめぐる訴訟などで、天皇の近臣あるいは女性を通じて訴え、有利な裁許を得ようとすること。
梅松論(1349頃)上「近臣臨時の内奏をへて非義を申行間、綸旨朝暮にあらたまり、諸人浮沈掌を返すごとし」
室町幕府の訴訟手続きの一つで、遅延したり、受理されなかったりする訴えにつき、提訴すること。前代内訴・奏事に相当する。
高野山文書‐(年未詳)(鎌倉)六月一〇日・僧禅海書状「奉行指合、故実仁尚可内奏之由令申候」

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デジタル大辞泉 「内奏」の意味・読み・例文・類語

ない‐そう【内奏】

[名](スル)
内密に天皇に奏上すること。
中世、側近臣下後宮から天皇に奏聞そうもんして事を取り計らうこと。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内奏」の意味・わかりやすい解説

内奏
ないそう

伝統的には内密にまたは後宮を通じて天皇に奏聞することをいうが,現在では天皇が国事行為を行うに際して立会う閣僚説明をさして用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の内奏の言及

【奏】より

…天皇に政治上のことで勅裁を仰ぐために,口頭または文書で上申すること。その行為を奏上,上奏,奏聞などといい,内密に奏することを内奏,密奏という。密奏は奏状を密封して奏する場合もある。…

※「内奏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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