宮内庁(読み)クナイチョウ

デジタル大辞泉 「宮内庁」の意味・読み・例文・類語

くない‐ちょう〔‐チヤウ〕【宮内庁】

皇室関係の国家事務、天皇国事行為に関する事務をつかさどり、御璽ぎょじ国璽こくじを保管する行政機関内閣府に置かれる。昭和22年(1947)宮内省を廃止して宮内府を設置、昭和24年(1949)宮内庁となり総理府外局として置かれ、平成13年(2001)中央省庁改革に伴い、内閣総理大臣の管理に属する特別な機関として内閣府に置かれた。

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精選版 日本国語大辞典 「宮内庁」の意味・読み・例文・類語

くない‐ちょう‥チャウ【宮内庁】

  1. 〘 名詞 〙 皇室関係の国家事務および天皇の国事行為に関する事務をつかさどり、御璽(ぎょじ)国璽を保管する行政機関。内閣府に置かれる。宮内省にかわって昭和二二年(一九四七)宮内府が設置され、さらに同二四年に改組されてできた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮内庁」の意味・わかりやすい解説

宮内庁
くないちょう

内閣府に置かれる行政機関で(内閣府設置法48条1項)、皇室に関する国家事務および天皇の国事に関する行為の事務を担当する(宮内庁法1条2項)。

 宮内庁の内部部局には、長官官房(機密に関すること、職員の任免などを行う)、侍従職(御璽(ぎょじ)・国璽(こくじ)を保管する事務、側近に関する事務、内廷にある皇族に関する事務)、上皇職(上皇に関する事務)、皇嗣(こうし)職(皇嗣である皇族に関する事務)、式部職(儀式、交際、雅楽に関する事務)、書陵部(皇統譜の調整・登録・保管に関する事務、陵墓に関する事務、正倉院に関する事務など)および管理部(皇室用財産に関する事務、供進(ぐしん)・調理に関する事務、御料牧場に関する事務など)が置かれている。2023年(令和5)4月には、長官官房総務課に広報室が新設された。このほか、施設等機関として正倉院事務所、御料牧場が、地方支分部局として京都事務所が置かれている。

 宮内庁の前身は、太政官(だじょうかん)制の1省として置かれた宮内省である(明治2年7月8日第622号布告「職員令」)。1885年(明治18)の内閣制度の創設に伴い、宮内大臣が内閣の外に置かれ(明治18年12月22日太政官達第69号)、宮内省も内閣から独立した機関として位置づけられた(明治19年2月5日宮内省達第1号)。明治憲法下でも、宮内省は「行政各部」に含められず、その組織は皇室令である宮内省官制に定められた(大正10年10月7日皇室令第7号)。

 第二次世界大戦後、宮内省にかわり宮内府が設置され、それは内閣総理大臣の所轄とされた(宮内府法13条)。国家行政組織法および総理府設置法の制定に伴い、宮内府は総理府の外局である宮内庁となり(総理府設置法17条)、皇室に関する事務も内閣の統轄の下に置かれることになった。2001年(平成13)の中央省庁再編によって、宮内庁は内閣府に置かれ、内閣総理大臣の管理に属する機関となった(宮内庁法1条1項)。

 天皇の退位等に関する皇室典範の特例法によって宮内庁法が2017年に改正され、上皇職と皇嗣職が置かれることとなった。東宮職は、皇嗣職が置かれている間は設置しないこととされている(宮内庁法附則3条5項)。

[山田健吾 2024年2月16日]

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百科事典マイペディア 「宮内庁」の意味・わかりやすい解説

宮内庁【くないちょう】

皇室関係の国家事務と天皇の国事行為に関する事務をつかさどり,御璽国璽を保管する内閣府(旧総理府)の外局に準じた位置を占める。宮内省の後身で1949年設置。施設等機関として正倉院事務所,御料牧場(ごりょうぼくじょう),地方支分部局として京都事務所がある。→侍従
→関連項目大臣蒙古襲来絵詞

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改訂新版 世界大百科事典 「宮内庁」の意味・わかりやすい解説

宮内庁 (くないちょう)

皇室関係の国家事務および天皇の国事行為に関する事務を担当するほか,御璽・国璽を保管する行政機関。内閣府の外局であり,内閣総理大臣の管理に属するが,宮内庁長官は認証官とされている。

 宮内庁の前身は1869年設置以来の伝統をもつ宮内省であるが,1947年日本国憲法施行と同時に宮内府とされ,49年宮内庁とされた。その内部組織は,長官のほか次長1人,長官官房,侍従職,東宮職,式部職,書陵部,管理部となっている。侍従職には侍従長等が置かれ御璽・国璽の保管,側近事務等をつかさどり,東宮職には東宮大夫等が置かれ,皇太子に関する事務をつかさどり,式部職には式部官長等が置かれ儀式,交際,雅楽に関することをつかさどる。書陵部は皇統譜,陵墓,図書および記録の保管等の事務を,管理部は皇室用財産の管理等の事務を担当する。宮内庁には,さらに,正倉院事務所,御料牧場,京都事務所が置かれている。2005年度末定員1082人。
宮内省 →侍従
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知恵蔵 「宮内庁」の解説

宮内庁

1947年、宮内省が宮内府になり、さらに49年、総理府の外局としての宮内庁となった。省庁再編に伴い、2001年から内閣府直属に。皇室関係の国家事務や、天皇・皇族の生活を支える。06年度末の定員は特別職52人、一般職1015人。長官、次長の下に長官官房など各部局がある。侍従職は天皇、皇后の身近に仕え、御璽(ぎょじ=天皇の印)、国璽(こくじ=国印)を保管。天皇を侍従長、侍従次長、侍従が、皇后を女官長、女官が補佐する。日常の身の回りのことは殿部(でんぶ)、内舎人(うどねり)、女嬬(にょじゅ)などが補佐する。健康管理は侍医長、侍医、看護師。東宮(とうぐう)職は皇太子夫妻と敬宮に仕える。東宮大夫(だいぶ)の下、東宮侍従長、同侍従、同女官長、同女官、同侍医長、同侍医らがいる。各宮家には宮務官、侍女長ら3〜8人が仕えており、宮務主管が統括している。式部職は儀式、外国交際や雅楽、鴨場などを運営・管理し、書陵部では、(1)図書課が天皇・皇族の戸籍に当たる皇統譜を管理し、皇室伝来の古文書などの保管、正倉院の管理、(2)編修課が歴代天皇の実録の作成、皇室制度史料・記録の編修など、(3)陵墓課が歴代天皇・皇族の陵墓の管理・調査などを行う。管理部では皇居や御用邸などの国有財産の維持管理、建設を行い、大膳(だいぜん)課で宮中の饗宴、茶会や天皇・内廷皇族の食事の調理・配膳を、車馬課で自動車・馬車の運用を行う。また、栃木県の御料牧場や、京都の御所などを管理する京都事務所、奈良の正倉院事務所もある。

(岩井克己 朝日新聞記者 / 2008年)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宮内庁」の解説

宮内庁
くないちょう

内閣府の外局の一つ。内閣総理大臣の管理下にあって,皇室関係の国家事務,ならびに天皇の国事行為のうち外国大公使の接受および儀式に関する事務を行い,御璽(ぎょじ)・国璽を保管する。第2次大戦後宮内省は組織の一部を移管・独立させるなど規模縮小をはかり,1947年(昭和22)日本国憲法の施行とともに宮内府が内閣総理大臣の所轄の機関として発足した。その後も部課人員の縮小が行われ,49年総理府設置法の制定により宮内庁が発足。現在の組織は長官の下に次長がおかれ,長官官房・侍従職・東宮職・式部職・書陵部・管理部などの部局と,付属機関として正倉院事務所・御料牧場が,地方支分部局として京都事務所がある。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮内庁」の意味・わかりやすい解説

宮内庁
くないちょう

皇室関係の事務および天皇の国事行為にかかわる事務を処理し,御璽,国璽を保管する行政機関。明治維新後,内閣の外に宮内省が設けられていたが,第2次世界大戦後は宮務 (皇室) 大権が否定され,1947年に,宮内府法 (昭和 22年法律 70号) により,総理府の外局として宮内府が設置され,49年に宮内庁と改称された。宮内庁長官を長とし,内部部局として侍従職,皇太后宮職,東宮職,式部職などがおかれる。内閣総理大臣,内閣府の管理に属し,戦前とは異なり政治的な権限はもっていない。

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