内閣府に置かれる行政機関で(内閣府設置法48条1項)、皇室に関する国家事務および天皇の国事に関する行為の事務を担当する(宮内庁法1条2項)。
宮内庁の内部部局には、長官官房(機密に関すること、職員の任免などを行う)、侍従職(御璽(ぎょじ)・国璽(こくじ)を保管する事務、側近に関する事務、内廷にある皇族に関する事務)、上皇職(上皇に関する事務)、皇嗣(こうし)職(皇嗣である皇族に関する事務)、式部職(儀式、交際、雅楽に関する事務)、書陵部(皇統譜の調整・登録・保管に関する事務、陵墓に関する事務、正倉院に関する事務など)および管理部(皇室用財産に関する事務、供進(ぐしん)・調理に関する事務、御料牧場に関する事務など)が置かれている。2023年(令和5)4月には、長官官房総務課に広報室が新設された。このほか、施設等機関として正倉院事務所、御料牧場が、地方支分部局として京都事務所が置かれている。
宮内庁の前身は、太政官(だじょうかん)制の1省として置かれた宮内省である(明治2年7月8日第622号布告「職員令」)。1885年(明治18)の内閣制度の創設に伴い、宮内大臣が内閣の外に置かれ(明治18年12月22日太政官達第69号)、宮内省も内閣から独立した機関として位置づけられた(明治19年2月5日宮内省達第1号)。明治憲法下でも、宮内省は「行政各部」に含められず、その組織は皇室令である宮内省官制に定められた(大正10年10月7日皇室令第7号)。
第二次世界大戦後、宮内省にかわり宮内府が設置され、それは内閣総理大臣の所轄とされた(宮内府法13条)。国家行政組織法および総理府設置法の制定に伴い、宮内府は総理府の外局である宮内庁となり(総理府設置法17条)、皇室に関する事務も内閣の統轄の下に置かれることになった。2001年(平成13)の中央省庁再編によって、宮内庁は内閣府に置かれ、内閣総理大臣の管理に属する機関となった(宮内庁法1条1項)。
天皇の退位等に関する皇室典範の特例法によって宮内庁法が2017年に改正され、上皇職と皇嗣職が置かれることとなった。東宮職は、皇嗣職が置かれている間は設置しないこととされている(宮内庁法附則3条5項)。
[山田健吾 2024年2月16日]
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皇室関係の国家事務および天皇の国事行為に関する事務を担当するほか,御璽・国璽を保管する行政機関。内閣府の外局であり,内閣総理大臣の管理に属するが,宮内庁長官は認証官とされている。
宮内庁の前身は1869年設置以来の伝統をもつ宮内省であるが,1947年日本国憲法施行と同時に宮内府とされ,49年宮内庁とされた。その内部組織は,長官のほか次長1人,長官官房,侍従職,東宮職,式部職,書陵部,管理部となっている。侍従職には侍従長等が置かれ御璽・国璽の保管,側近事務等をつかさどり,東宮職には東宮大夫等が置かれ,皇太子に関する事務をつかさどり,式部職には式部官長等が置かれ儀式,交際,雅楽に関することをつかさどる。書陵部は皇統譜,陵墓,図書および記録の保管等の事務を,管理部は皇室用財産の管理等の事務を担当する。宮内庁には,さらに,正倉院事務所,御料牧場,京都事務所が置かれている。2005年度末定員1082人。
→宮内省 →侍従
執筆者:八木 俊道
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(岩井克己 朝日新聞記者 / 2008年)
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内閣府の外局の一つ。内閣総理大臣の管理下にあって,皇室関係の国家事務,ならびに天皇の国事行為のうち外国大公使の接受および儀式に関する事務を行い,御璽(ぎょじ)・国璽を保管する。第2次大戦後宮内省は組織の一部を移管・独立させるなど規模縮小をはかり,1947年(昭和22)日本国憲法の施行とともに宮内府が内閣総理大臣の所轄の機関として発足した。その後も部課人員の縮小が行われ,49年総理府設置法の制定により宮内庁が発足。現在の組織は長官の下に次長がおかれ,長官官房・侍従職・東宮職・式部職・書陵部・管理部などの部局と,付属機関として正倉院事務所・御料牧場が,地方支分部局として京都事務所がある。
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