内曇(読み)ウチグモリ

デジタル大辞泉 「内曇」の意味・読み・例文・類語

うち‐ぐもり【内曇(り)】

上下雲形くもがたき出した鳥の子紙色紙短冊に用いる。普通は上を青く、下を紫にするが、凶事にはその反対にする。雲紙くもがみ
京都市右京区鳴滝産の砥石といし卵色に紫の模様がある。主に刀剣用。

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精選版 日本国語大辞典 「内曇」の意味・読み・例文・類語

うち‐ぐもり【内曇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鳥の子紙の一種。上方青色下方紫色の雲形(くもがた)を重ね漉(す)きした厚手の紙。色紙や短冊などに用いる。普通は青雲を上、紫雲を下にして用いるが、仏事、追善などの歌の場合は、これを逆にして用いる。雲紙(くもがみ)
    1. [初出の実例]「参進賜御書〈無薄并下絵但有内陰〉」(出典:山槐記‐応保元年(1161)一二月二七日)
  3. 懐紙、短冊などの紫の雲形。
    1. [初出の実例]「かけたるくゎいしのうちぐもりに神かくれしてうせにけり」(出典:虎明本狂言・連歌十徳(室町末‐近世初))
  4. 杯の一種。土器(かわらけ)の内側に黒く三つ星の模様があるもの。
    1. [初出の実例]「たとへなばさすかはらけのうち曇をさへて待も月の御ためか」(出典:狂歌・大団(1703)一)
  5. 砥石(といし)の一種。京都市右京区の鳴滝山から産出する。黄白色に紫色の模様がある。刀剣をとぐために用いる。鳴滝砥。〔日本山海名産図会(1799)〕

内曇の補助注記

について、一説に、吉凶によって、上下を逆に用いるということはなく、紫を重んずるとき、たとえば「伊勢物語」の「春日野若菜の」の歌を書くときは紫を上にする〔安斎随筆〕。同様に、冷泉家では、春夏には青色を上に、秋冬には紫を上に用いるという〔嘉良喜随筆〕。

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世界大百科事典(旧版)内の内曇の言及

【雁皮紙】より

…各色に染めた薄様を重ね合わせ,中間色になる効果を楽しむなど,半透明の雁皮紙の特色がよく生かされている。また料紙を飾っている内曇(うちぐもり)や飛雲(とびくも)などは,いったんつけ染やはけ染などで染紙にした雁皮紙を,叩解(こうかい)して着色した繊維に戻し,再びすき合わせたものである。内曇の技法は現在も越前紙に伝承されており,小間紙(美術紙)にはガンピを生かした手法が多い。…

※「内曇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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