書物のしたて方の一種で,巻子本(かんすぼん)に対して,紙,布,皮紙などを重ねあわせてとじた,いわゆる〈本〉の形のものをさす。書写材料を重ねてとじるということでは,初期の粘土板,木簡,竹簡のころから行われており,〈冊〉の文字もひもを通して束ねた木・竹簡の形に由来するが,これは〈冊子本〉とはいわない。西洋では〈コデックス〉が冊子本に相当する語であるが,成立の経緯は洋の東西で異なり,それは書写材料の違いによるところが大きい。すなわち,東洋では早くから紙を用いたので,長く継いで長尺の巻子本を作ることが容易であった。これを,参照の便を図るため折本(おりほん)(いわゆる経文折り)にしたてるようになり,さらに一枚表紙でくるんで旋風葉となり,背をのりで固め,袋になった部分を切り開くようになってから,初めて枚葉のまま折って重ねてとじる方法がとられるようになった(綴葉(てつちよう)装,粘葉(でつちよう)装,大和綴(やまととじ))。これに対し,西洋ではパピルスの巻子本がエジプト,ギリシア,ローマ時代にかけて大いに利用されたが,パピルスは繊維が折れやすいので紙のように自由に折りたたむわけにはいかず,またエジプト特産で,高価でもあった。そのため,代用品として登場したのが牛皮紙(ベラム),羊皮紙(パーチメント)で,皮紙は巻子本とするよりも二つ折りにして重ね,冊子本(コデックス)とするのに向いていた。
執筆者:上田 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
※「冊子本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...