7世紀に官人にさまざまな規格の冠を授け,それを着用させることにより朝廷での身分の上下を明らかにした制度。ウジを対象とする氏姓と異なり個人に与えられ,昇進が可能であり,世襲されないことなどを特色とする。唐の官品が官職のランクであるのに対し,冠位は個人に冠を与えて格づけするもので,朝鮮三国の制度をうけついだもの。603年(推古11)の冠位十二階を端緒とし,以後647年(大化3),649年,664年(天智3),685年(天武14)に順次改定された。689年(持統3)の飛鳥浄御原(きよみはら)令施行にともない,従来の位冠に加えて文書の位記が発給されるようになった。さらに701年(大宝元)の大宝令では,30階の位階制が施行されるとともに位冠の授与が停止され,位階の授与は位記の交付を通して行われることとなり,冠位制は律令制的な位階制に発展的に解消した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…官人社会における個人の地位を表す序列・等級。
[冠位制の流れ]
日本における位階制は603年(推古11)の冠位十二階に始まる。これは,官人序列を冠の色によって表そうとするもので,源流は朝鮮半島の制度に求められる。…
…位階を授けるときに発給する公文書。飛鳥浄御原令の施行にともない689年(持統3)はじめて発行されたが,このときは冠位と位記を併用した。しかし,大宝令の施行とともに冠位を廃し,位記一本立てとした。…
※「冠位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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