デジタル大辞泉
「出だす」の意味・読み・例文・類語
いだ・す【▽出だす】
[動サ四]
1 内にあるものを外の方へ移す。
「帳のうちよりも―・さず、いつき養ふ」〈竹取〉
2 出発させる。
「暁に船を―・して」〈土佐〉
3 差し出す。提供する。
「宮の、五節―・させ給ふに」〈枕・九〇〉
4 新たに生じさせる。起こす。
「尊また火を―・されたりければ」〈平家・一一〉
5 声に表す。歌ったり吟じたりする。また、表情などにだす。
「拍子とりて梅が枝(=催馬楽ノ曲名)―・したるほど」〈源・梅枝〉
「色にも―・させ給はずなりぬるを」〈源・桐壺〉
6 動詞の連用形に付いて複合語をつくる。
㋐その動作が外に向かって行われる意を表す。「言い出だす」「眺め出だす」など。
㋑その動作によって結果が外に現れるようにする意を表す。「作り出だす」「染め出だす」など。
㋒その動作が始まる意を表す。「走り出だす」「歌い出だす」など。→だす
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いだ・す【出】
- 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
- [ 一 ] (ある限られた所、外から見えない所などから)人目にたつ所、表立った所などに現われるようにしむける。だす。
- ① (ある限られた場所から)その外へ進み動くようにしむける。また、外のある場所に位置を変えさせる。
- (イ) ( 出発点から離れることに重点が置かれる場合 ) 外へ行かせる。出かけさせる。
- [初出の実例]「大船を荒海(あるみ)に伊太之(イダシ)います君つつむことなく早帰りませ」(出典:万葉集(8C後)一五・三五八二)
- 「ちゃうのうちよりも出さずいつきやしなふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- (ロ) ( 姿を現わす場所に重点が置かれる場合 ) ある場所に現われるようにしむける。特に、その場所がある働きを必要とする所である場合には、出仕、出陣、出席などさせる意。
- [初出の実例]「宮仕へにいだし給へりしに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
- ② (今まで見えなかったもの、なかったものなどを)外に現わす。
- (イ) (隠れていたものや、しまってあったものなどを)人前に現わす。提出する。提供する。
- [初出の実例]「女がたよりいだすさかづきの皿に」(出典:伊勢物語(10C前)六九)
- 「世の人聞きに、しばしこのこといださじと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
- (ロ) (なかったものを)新しく生じさせる。発生させる。ひきおこす。
- [初出の実例]「きのふこといだしたりしわらはべとらふべしといふ」(出典:大鏡(12C前)三)
- (ハ) 声に表わす。言う。歌う。吟じる。また、模様や色として表面に現わす。
- [初出の実例]「いろにもいださせ給はずなりぬるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- 「すこし出されたるをきけば、〈略〉長行をぞよまるる」(出典:讚岐典侍(1108頃)上)
- (ニ) 内から外へ延ばし現わす。特に、出だし衣(ぎぬ)をする。
- [初出の実例]「花すすき、ほにいだすべき事にもあらずなりにたり」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- 「固紋(かたもん)の指貫(さしぬき)、しろき御衣(ぞ)ども、うへには濃き綾の糸あざやかなるをいだしてまゐり給へるに」(出典:枕草子(10C終)二三)
- (ホ) 表立った所に登場させる。文章などを発表する。掲載する。また、出版する。
- [初出の実例]「花伝にいだす所の条々を」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)七)
- 「われまた軒下に店をいだして」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)
- [ 二 ] 補助動詞として用いられる。動詞の連用形に付く。
- ① その動作が内から外に向かって行なわれる意を表わす。「言い出だす」「見出だす」「眺め出だす」など。
- ② その動作によって表、外に現われるようにする意を表わす。「染め出だす」「書き出だす」「作り出だす」など。
- ③ その動作が始まる意を表わす。「言い出だす」「歌い出だす」など。
出だすの語誌
「虎明本狂言」の調査結果によれば、当時の口語において、単独の動詞としてはダスが一般に用いられ、イダスには補助動詞としての用法が多かったことがうかがえる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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