出で立つ(読み)イデタツ

デジタル大辞泉 「出で立つ」の意味・読み・例文・類語

いで‐た・つ【出で立つ】

[動タ五(四)]
旅などに出発する。出て行く。
「旅芸人たちが―・つらしい物音が聞こえて来た」〈康成伊豆の踊子
衣装などを身にまとう。身支度をする。
道化役者、魔法つかいなどに―・ちたる男」〈鴎外訳・即興詩人
ある場所に出ていって立つ。
あしたには庭に―・ち」〈・一六二九〉
現れ出る。出る。
「心のうちに催さるる涙、ともすれば―・つを」〈浮舟
出仕する。
宮仕へに―・ちて」〈帚木
頭角を現す。出世する。
「この道より―・ち給へる上達部」〈少女

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「出で立つ」の意味・読み・例文・類語

いで‐た・つ【出立】

  1. 〘 自動詞 タ行四段活用 〙
  2. ある場所に出て立つ。
    1. [初出の実例]「おしてるや 難波の崎よ 伊伝多知(イデタチ)て わが国見れば」(出典古事記(712)下・歌謡)
  3. 外に現われる。出る。出てくる。
    1. [初出の実例]「女は、かき集めたる心のうちに催さるる涙、ともすればいでたつを慰めかね給ひつつ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  4. 出発する。旅立つ。
    1. [初出の実例]「今日よりは顧みなくて大君の醜(しこ)の御楯と伊埿多都(イデタツ)我は」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三七三)
  5. 宮仕えに出る。出仕する。
    1. [初出の実例]「宮仕へにいでたちて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  6. 立身出世する。
    1. [初出の実例]「此が出立(いでたち)なば、主計主税の頭・助にも大夫の史にも、異人は更に可競き様无(なき)なめり」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
  7. 整った姿をする。身じたくする。晴れの装束をつける。扮装する。
    1. [初出の実例]「馬、鞍、〈略〉刀にいたるまで、照り輝く程にいでたたれたりしかば」(出典:平家物語(13C前)五)
  8. 山などがそびえ立つ。
    1. [初出の実例]「こちごちの 国のみ中ゆ 出立有(いでたてる) 富士(ふじ)高嶺は」(出典:万葉集(8C後)三・三一九)

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