デジタル大辞泉
「刀自」の意味・読み・例文・類語
とじ【▽刀自】
《「戸主」の意で、「刀自」は当て字》
1 年輩の女性を敬愛の気持ちを込めて呼ぶ称。名前の下に付けて敬称としても用いる。
2 一家の主婦。
「からたちの茨刈り除け倉建てむ屎遠くまれ櫛造る―」〈万・三八三二〉
3 宮中の御厨子所・台盤所・内侍所などで雑役を勤めた女官。
「台盤所の―といふ者の」〈枕・一三八〉
4 貴族の家に仕えて家事を扱う女性。
「宮々の―」〈栄花・わかばえ〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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とじ【刀自】
- 〘 名詞 〙 ( 「戸主(とぬし)」の意で、「刀自」はあて字。家の内の仕事をつかさどる者をいう )
- ① 家事をつかさどる婦人。主婦。いえとうじ。
- [初出の実例]「圧乞(いで)、戸母(トジ)、其の蘭(あららき)一茎(ひともと)といふ〈圧乞、此をば異提(いで)と云ふ。戸母、此をば覩自(トジ)と云ふ〉」(出典:日本書紀(720)允恭二年二月)
- ② 女性を尊敬または親愛の気持をこめて呼ぶ称。
- [初出の実例]「佐野三家定賜健守命孫黒売刀自」(出典:山名村碑‐辛巳歳(681)集月三日)
- ③ 年老いた女。老婦人。
- [初出の実例]「負 劉向列女伝云古語謂二老母一為レ負也〈今案和名度之 俗用二刀自二字一者訛〉」(出典:十巻本和名抄(934頃)一)
- ④ 平安時代以降、宮中の御厨子所(みずしどころ)・台盤所(だいばんどころ)・内侍所(ないしどころ)などで、雑役を勤めた女官。
- [初出の実例]「使にいきける鬼童(おにわらは)は、台盤所のとじといふ者のもとなりけるを」(出典:枕草子(10C終)一三八)
- ⑤ 貴人の家に仕えて雑役などをする婦人。
- [初出の実例]「宮々の刀自・をさめにてもこの御子をだに生みたらば」(出典:栄花物語(1028‐92頃)若ばえ)
とうじ【刀自】
- 〘 名詞 〙 ( 「刀自」はあて字 ) 「とじ(刀自)」の変化したもの。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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刀自
とじ
女性に対する古風な尊称。現代でも旧家の女性に対して使われる。古代の后妃(こうひ)の称号の一つである夫人(ぶにん)も和訓はオホトジである。戸主=トヌシの約かともいうが不詳。7~8世紀の石碑・墓誌に豪族層女性の尊称としてみえ、『万葉集』にも「妣刀自(ははとじ)」等の例がある。さまざまなレベルの人間集団を統率する女性が原義か。族刀自的なものから家刀自へと推移するが、古代には里刀自や寺刀自もいて、後世のような主婦的存在に限られない。後宮(こうきゅう)の下級女官(にょかん)にも刀自がいた。
[義江明子]
『所京子校訂、浅井虎夫著『新訂 女官通解』(1985・講談社学術文庫)』▽『義江明子著「「刀自」考」(『日本古代女性史論』所収・2007・吉川弘文館)』▽『義江明子著「「刀自」からみた日本古代社会のジェンダー」(『帝京史学』26)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の刀自の言及
【杜氏】より
…また,酒造労務者の総称ともされる。杜氏の名の由来については,昔中国で初めて酒をつくった杜康(とこう)の名をとったとする説,奈良・平安時代造酒司(さけのつかさ)が酒をつくるのに用いた壺を〈大刀自(おおとじ)〉〈小刀自(ことじ)〉と呼び,後の人が酒をつくる人をも刀自と呼んだとする説,寺社で酒つくりが行われる以前,酒つくりは家庭を取りしきる主婦(刀自)のしごとであり,刀自が転じたものであるとの説などがある。《日本書紀》の崇神紀に〈高橋邑(たかはしのむら)(現,天理市)の人,活日(いくひ)を以て大神の掌酒(さかびと)とす〉とあり,これが記録に残るはじめての杜氏で,奈良県桜井市の大神(おおみわ)神社境内にある活日神社は現在でも杜氏の信仰を集めている。…
※「刀自」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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