先山(読み)サキヤマ

デジタル大辞泉 「先山」の意味・読み・例文・類語

さき‐やま【先山/前山】

鉱山切羽きりはで、第一線に立って採掘を行う、熟練した作業員。⇔後山あとやま
沿岸を航海中に、船の前方に見える目標となる山。⇔後山

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精選版 日本国語大辞典 「先山」の意味・読み・例文・類語

さき‐やま【先山・前山】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鉱山や炭坑で、切羽(きりは)で採掘の主作業をする労働者。また、経験を積んだ作業者。⇔後山(あとやま)
  3. 航海中、船の船首方向にある目標の山。⇔後山
    1. [初出の実例]「洋へ乗出しては磁針の遣方専一なり。風候、潮候を考へ、跡山・先山(サキヤマ)をきわめ、針を居べし」(出典:廻船安乗録(1810))

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改訂新版 世界大百科事典 「先山」の意味・わかりやすい解説

先山 (さきやま)

炭鉱の採炭作業場において,昔は2人1組となって1人はつるはし石炭を掘り他の1人はその石炭の積込運搬をした。この掘る人を先山といい,積込運搬をする人を後山(あとやま)といった。しかし今日では,先山といえば技術の優秀な熟練鉱員のことをいい,先山は作業班の指導者として後山を指導しながら安全に注意して仕事をする。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「先山」の意味・わかりやすい解説

先山
せんざん

兵庫県淡路島(あわじしま)の中央部、洲本(すもと)市にある山。標高448メートル。孤立した花崗(かこう)岩山地で、山容から淡路富士ともよばれ、瀬戸内海国立公園の一部。山頂にはスダジイタブノキなどの暖帯林がある。国生み神話で最初にできた山として先山と名づけられたといい、島民の信仰が厚い。山頂に真言宗の名刹(めいさつ)千光寺があり、五七日忌に遺髪を携えて登る人や越年の法会に参拝する人々が多い。梵鐘は国の重要文化財。

[大槻 守]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「先山」の意味・わかりやすい解説

先山
せんざん

兵庫県南部,淡路島の中心部にある花崗岩の山。標高 448m。洲本市に属する。淡路富士とも呼ばれるピラミッド形の山で,山頂からの眺望は雄大。山頂の千光寺は延喜年間 (901~923) に寂忍法師が創建した名刹で,淡路巡礼第1番の札所

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百科事典マイペディア 「先山」の意味・わかりやすい解説

先山【さきやま】

かつて炭鉱の切羽(きりは)で採掘に当たる鉱夫を先山,積込運搬者を後山(あとやま)と呼び,夫が先山,妻が後山となり夫婦同一切羽で作業することが多かった。のちには,先山は技術の優秀な熟練工員のことをいい,作業班の指導者として後山を指導しながら安全に注意して作業を行った。

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世界大百科事典(旧版)内の先山の言及

【きこり(木樵∥樵)】より

…そうした工人を中世以来,外財(げざい)と呼んだのであるが,このことは諸職としての杣人を考えるうえでたいせつな視点である。近世になると杣人の集団は,多く先山(さきやま)と木挽(こびき)に区分されるようになる。なかには近江甲賀の杣人のように,大きな組織をもって禁裏,幕府の所要に義務を負うかわり,その反対給付として職の独占と諸役免除の特権を付与されたものもいた。…

【木挽】より

…古く杣(そま)(杣人(そまびと∥そまうど))と呼ばれた人たちは,その後技術的に分化して,その伐材にあたるものを先山(さきやま)といい,造材にかかわるものを木挽というようになる。その分化は江戸時代初期から顕著になったといわれている。…

※「先山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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