判じ物(読み)ハンジモノ

デジタル大辞泉 「判じ物」の意味・読み・例文・類語

はんじ‐もの【判じ物】

文字絵画に、ある意味を隠しておき、それを当てさせるようにしたもの。また、その遊び。

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改訂新版 世界大百科事典 「判じ物」の意味・わかりやすい解説

判じ物 (はんじもの)

英語のパズルpuzzleに相当し,なぞ考え物などと同一のものであるが,昔からなぞや考え物は文章あるいは言葉で問題を提供して,推理的な解答を求めるのに対し,判じ物,判じ絵物質によって,仮託的な問題を提示するものを意味することが多い。例をあげると,松永貞徳の《歌林雑話》に,京都に新城ができた正月御門のところに割れたハマグリ貝を九つならべてあった。織田信長がそれを見て,将軍の心がうつけているからクガイ(苦労)がたえないと,子どもたちがひやかしたものだと解いたという話がある。現在でも盛岡地方に用いられる絵暦(えごよみ)が,判じてみる,いわゆる判じ絵だともいわれている。
パズル
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「判じ物」の意味・わかりやすい解説

判じ物
はんじもの

文字や絵にある意味をあてつけて判じさせる謎解(なぞと)き。絵のものを「判じ絵」、字のものを「字謎(じなぞ)」などともいった。江戸の町人社会で戯作者(げさくしゃ)中心に流行し、その類の版本もつくられた。その余流はなお今日のクイズものにも残っている。「人在草木間目有竹木傍(茶箱)」「春夏冬二升五合(商いますます繁盛(はんじょう))」などはいわゆる「字謎」のありふれた例で、幕末期江戸にはこうした考え物(字謎)で物乞(ご)いする願人(がんにん)坊主のたぐいもあったという。判じ絵には複雑な図柄を配してくふうを凝らしたものも多く、「団扇(うちわ)絵」や「大小暦」などの図案として、毎年各自創案を競う傾向も生じたらしい。また岩手県地方にみられる「南部盲暦(めくらごよみ)」の節季表示なども一種の判じ絵であった(入梅=盗人=荷うばい等)。

[竹内利美]

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