分子生物学者。愛知県生まれ。1963年(昭和38)京都大学理学部化学科を卒業後、同ウイルス研究所の大学院生を経て、アメリカのカリフォルニア大学サン・ディエゴ校に留学し博士号を取得。アメリカのソーク研究所の研究員となり、1971年スイスのバーゼル免疫学研究所主任研究員。1981年アメリカのマサチューセッツ工科大学癌(がん)研究所生物学部教授。遺伝子DNAの構成は不変と考えられていたが、免疫グロブリン遺伝子ではDNAが自ら構成の再配列を行う機構を明らかにし、染色体の構造が変わることを示した。1981年遺伝学大賞を受賞、1983年文化功労者となり、1984年文化勲章を受章。1986年全米科学アカデミー外国人会員となり、1987年「抗体の多様性生成の遺伝的原理」の発見で、日本人初のノーベル医学生理学賞を受賞した。1990年代以降は脳内機構の研究に専念、1994年(平成6)マサチューセッツ工科大学学習・記憶研究センター長(2006年まで)、1998年理研-MIT脳科学センター長、2009年(平成21)理化学研究所脳科学総合研究センター長に就任し、脳科学の分野でも活躍している。
[編集部]
『利根川進・花房秀三郎著『生命に挑む――利根川進・花房秀三郎の世界』(1988・日刊工業新聞社)』▽『立花隆・利根川進著『精神と物質――分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』(文春文庫)』▽『利根川進著『私の脳科学講義』(岩波新書)』▽『ネイサン・アーセング著、牧野賢治訳『ノーベル賞の人びと1 生命をまもる 生理学・医学賞』(1991・大日本図書)』
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