則例 (そくれい)
zé lì
中国,清代の基本行政法典である会典の運用上とくに生じた新例・疑義・補足などを各官庁ごとに編集して刊行した行政法典。中国には古来種々な法令があり,清代に及んで律・会典・例となった。律とは刑法典のこと,会典とは行政法典のことであるが,この二つは諸法令の骨子となるもので,変更しないのを原則とする。しかし時勢の推移によって起こった問題は,そのつど適当な処置を行わねばならないので,これらの処置を案と称する。その案を一定の期間ごとに審議し,その採るべきものを選んで集成したのが例である。例には種々な区別があって,律に関するものを条例といい,六部にわたった一般行政に関するものを会典事例(《乾隆会典》では則例,《嘉慶会典》《光緒会典》では事例)といい,各部限りのものを則例といい,1省内に限って行われるものを省例という。則例には,吏部則例,戸部則例,礼部則例,工部則例,理藩院則例その他多数ある。
執筆者:谷 光隆
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則例
そくれい
中国、清(しん)代に会典(行政法典の集成)を補充・変更した法律を、関係官庁ごとにまとめたもの。宗人府則例、吏部則例、戸部則例、礼部則例、工部則例などが刊行され、その続集も出され、分量はおびただしくなった。なお、兵部には中枢政考があって則例はない。1679年、基本法の律に対して、その副法としての条例を刑部現行則例として示したのが則例の初めである。
[川勝 守]
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則例
そくれい
ze-li; tsê-li
中国,清の行政上の大綱を示した『大清会典』に対して,行政上の実例を集めて編纂したもの。会典の施行にあたり問題が生じると,あらためて皇帝の決裁を受け,以後はこれに従うこととした。その集大成したものが会典則例,会典事例であるが,それ以外に各部院ごとに数種類が何回も編纂され,その数は数百種類に達するという。たとえば『戸部則例』は,乾隆 41 (1776) 年に初めて編纂されてから,同治 13 (1874) 年の間に 15回の編纂が行われている。このほか『吏部則例』『礼部則例』『工部則例』『理藩院則例』などが代表的な則例である。
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普及版 字通
「則例」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の則例の言及
【中国法】より
…会典の編纂は清朝に入って盛行し,康熙,雍正,乾隆,嘉慶,光緒の各代に勅撰された。乾隆会典以後は,その内容の付則的な部分を本文から抜き出して別に則例または事例と名づけて付録としたが,光緒会典に至って,本文は100巻なるに対し,事例は1220巻,さらにこれに図270巻を付した膨大なものとなった。別に各衙門においてそれぞれ則例なるものを編集し,その多くは出版公布されているので,清一代の法典は莫大な量に上っている。…
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