最新 心理学事典 「創造的性格」の解説
そうぞうてきせいかく
創造的性格
creative personality
創造的な人についての研究から得られた創造的性格には,①感性が鋭く自己信頼している,②自分の住む文化の周辺部にいる,③しばしば子どものように振る舞う,④曖昧さに対して寛容である,⑤開放的である,⑥衝動的である,などの特徴がある。少し古くなるが,小・中学校の教師が感じている創造的性格に関する調査がある(河野重雄,1967)。それによると,創造的な児童・生徒には,①自主的である,②自発性がある,③疑問に思ったことはなんでも質問する,④限られた手がかりから上手に推量する,⑤自分の信じていることは勇気をもって主張する,などの性格特徴があるという。
ファイストFeist,G.J.(2010)は,開放性opennessと創造性の関係を調べる研究を調査して,開放的な人は,想像的でありかつ好奇心に満ちているので,創造的な成果が出せるという。しかし,開放性の高い人であっても,すべての状況で創造的であるのではなく,広くて曖昧な課題を解決するときに,創造的な行動が最大になるという。
自己効力self-efficacyとは「何かをすることができる」とか「ある行動を引き起こすことができる」というその人の自信を指しており,創造的な人は全般的でないにしても,自分の得意な領域では,絶対的で強力な自己効力をもつという多数の研究がある。保守的な性格と創造性の関係も研究されたが,予想されるように保守性と創造性は逆の関係にあった。
エジソンが困難な状況を乗り越えて多くの発明をしたり,ゴッホがまったく売れない絵を生涯をかけて描いたり,ポアンカレが寝食を忘れて数学の定理を証明したりしたのは,この創造的性格によるところが大きい。一般に,科学者・発明家・芸術家・文学者・起業家などが創造的な所産や業績を求めつづけるのは,探索することや創り出すことに喜びを感じるこの創造的性格が深く関与しているためと思われる。 →天才
〔弓野 憲一]
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