北京と瀋陽の明-清朝の皇宮群(読み)ペキンとしんようのみんしんちょうのこうぐうぐん

世界遺産詳解 の解説

ペキンとしんようのみんしんちょうのこうぐうぐん【北京と瀋陽の明-清朝の皇宮群】

1987年に登録、2004年に登録内容が変更された中国の世界遺産(文化遺産)。北京紫禁城故宮)は、首都北京中央部の東城区、天安門の北にあり、現在は故宮博物院として知られる建造物で、明、清時代の歴代皇帝宮殿である。この宮殿は、明の成祖・永楽帝明朝の第3代皇帝)が1420年に14年の歳月を費やして完成させたもので、それ以来、清朝最後の皇帝溥儀が1912年に退位するまで、明と清の皇帝が24代にわたって居城としてきた。高さ10mの城壁をめぐらした、南北961m、東西752mの敷地に建つ宮殿で、城壁の中には太和(たいわ)殿、中和殿、保和殿の三大殿を中心にさまざまな建造物が建ち並び、その規模は宮殿建築として世界最大である。このうち太和殿は高さ27m、間口約64m、奥行き37mの、現存する中国最大の木造建築物である。明と清の時代にわたって、この宮殿に集められた105万にも及ぶ文物の一部は、現在、故宮博物院で公開されている。2004年に追加登録された瀋陽の故宮は、後金(清の前身)時代に首都とされていた遼寧省瀋陽の中心部にある。後金の皇帝であったヌルハチ(清の太祖)の時代の1625年に着工し、第2代皇帝ホンタイジ(太宗)の治世の1636年に完成した宮殿である。その規模は北京の紫禁城には及ばないものの、敷地面積約6万m2と壮大なもので、清朝第3代皇帝の順治帝皇宮を北京の紫禁城に移すまで皇宮とされ、その後も清王朝の離宮として利用された。◇英名はImperial Palaces of the Ming and Qing Dynasties in Beijing and Shenyang

出典 講談社世界遺産詳解について 情報