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北方謙三 キタカタケンゾウ

デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

北方謙三 きたかた-けんぞう

1947- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和22年10月26日生まれ。56年の「弔鐘はるかなり」でハードボイルドの新人作家として注目され,58年「眠りなき夜」で吉川英治文学新人賞,60年「渇きの街」で日本推理作家協会賞。「武王の門」など歴史小説も発表し,平成3年「破軍の星」で柴田錬三郎賞。16年「楊家将」で吉川英治文学賞。18年「水滸伝」で司馬遼太郎賞。21年日本ミステリー文学大賞。23年「楊令伝」で毎日出版文化賞特別賞。佐賀県出身。中央大卒。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

北方謙三
きたかたけんぞう
(1947― )

小説家。佐賀県生まれ。船員だった父親の都合で10歳のときに横浜市近郊へ転居。中央大学法学部卒業。全共闘運動に深くかかわるが、一方で文学への思いも断ち難く、在学中の1970年(昭和45)、同人誌に発表した純文学作品「明るい街へ」が『新潮』に転載されて文芸誌デビュー。
 しかし純文学の世界では結局芽が出ず、その後エンターテインメントに転向。『弔鐘はるかなり』(1981)を初の著作として上梓。ハードボイルドの新鋭として注目を浴びる。『眠りなき夜』(1982)で吉川英治文学新人賞受賞。『檻(おり)』(1983。日本冒険小説協会大賞)、『渇きの街』(1984。日本推理作家協会賞)、『過去(リメンバー)』(1984。角川小説賞)、『明日なき街角』(1985。日本文芸大賞)と短期間で主要な文芸賞を受賞し第一線の人気作家となる。ことに小さなスーパーを地道に経営する店主に、かつてのやくざ仲間が幹部の逃亡に協力を求めてくる事件に端を発する『檻』は、今も彼の最高傑作との評判が高い。足を洗って堅気になったはずのやくざが、憧れていた普通の生活が実は自分を閉じ込める檻にすぎないことに気づくのだ。やがて彼はその檻から自分を解き放つために、再び修羅の道に足を踏み入れる。
 本人はハードボイルドを書くうえで、強く影響されたのは映画であったと述懐する。
 「ヒーローはあくまでもカッコよく、しかも女性にたいしてはストイックで、自分の生き方を絶対に変えない。僕はスクリーンのなかの男たちに、男にたいするあこがれをはじめて意識した。(中略)……自分もまたああいう男になりたいと夢見たのだった。いま考えてみると、やがてそのあこがれは、僕の内部で、男であることへのこだわりへと変質していったのではないか。僕のハードボイルドの原型は、このあたりにあるといってもよいようだ」(『男はハードボイルド』1986)。第一線の流行作家となってからも、著書の刊行ペースは落とさなかったが、そのかたわらこつこつと資料を蓄え、89年(平成1)、室町幕府成立前後の時代を舞台にした『武王の門』で歴史小説に挑戦。『破軍の星』(1990)で柴田錬三郎賞を受賞。歴史小説家としても人気作家となる。96年より『三国志』の書き下ろしを開始、これまたベストセラーとなる。97年より2期、日本推理作家協会理事長を務める。[関口苑生]
『『弔鐘はるかなり』『逃がれの街』『眠りなき夜』『檻』『破軍の星』『林蔵の貌』(集英社文庫) ▽『さらば、荒野』『過去』(角川文庫) ▽『明日なき街角』『武王の門』(新潮文庫) ▽『余燼』(講談社文庫) ▽『渇きの街』(双葉文庫) ▽『三国志』(ハルキ文庫) ▽『男はハードボイルド』(ワニ文庫)』

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