匙を投げる(読み)サジヲナゲル

デジタル大辞泉 「匙を投げる」の意味・読み・例文・類語

さじ・げる

《薬を調合するさじを投げ出す意から》医者が、これ以上治療法がないとして病人を見放す。また、救済解決見込みがないとして、手を引く。「名医も―・げるほどの難病」
[類語]見切る見限る見捨てる見放す愛想が尽きる愛想を尽かす見切りを付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「匙を投げる」の意味・読み・例文・類語

さじ【匙】 を 投(な)げる

  1. ( 調剤用の匙を投げ出す意から ) 医者がこれ以上治療の方法がないと診断する。医者が病人を見放す。
    1. [初出の実例]「扁鵲は四月半ばに匙を投げ」(出典:雑俳・柳多留‐三六(1807))
  2. 物事、人の状態などに働きかけて、救済したり、思うような結果を導いたりすることに対し、そういう見込みがないとあきらめて、手を引く。手のほどこしようがなく断念する。
    1. [初出の実例]「頼まれたほどの智恵は如何振っても出ぬので、終局には匕(サジ)を投げて」(出典多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 「匙を投げる」の解説

匙を投げる

調剤用のさじを投げ出す。医者がこれ以上治療の方法がないと診断して病人を見放す。また広く、成功の見込みがたたず断念すること。

[使用例] 医者が匙を投げてから内証証文を巻いた[泉鏡花*葛飾砂子|1900]

出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の匙を投げるの言及

【スプーン】より

…九州西部などでは飯を盛る杓子を〈いいがい〉または〈めしがい〉と呼んでいる。なお,〈薬匙(やくじ∥やくさじ)〉は医師が薬を盛り分けるのに使ったさじで,江戸時代,大名などの侍医を〈お匙(さじ)〉と呼び,医師が重病患者を見放すことを,〈さじを投げる〉というようになり,俗に救済の方法がなくなったことを意味するようになった。【春山 行夫】。…

※「匙を投げる」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android