家庭医学館 の解説
いしがしょほうしためぐすりのただしいつかいかた【医師が処方した目薬の正しい使い方】
飲み薬にもかぜ薬、胃薬、抗生物質など、さまざまな種類があるように、目薬にもいろいろな種類があります。
現在、日本で使用されているおもな目薬だけで50~60種類あり、濃度のちがいなどを含めると100種類以上になります。眼科では、そのなかから患者さん一人ひとりの症状に合わせて、処方をしています。
◎目薬のじょうずなさし方
目薬をさすときには、下のまぶたを軽く引いて、まぶたの裏側(瞼結膜(けんけつまく))の部分に1回1滴落とすのが正しい方法です。それ以上さしても、目薬は流れてしまい効果は上がりません。逆にまぶたがただれてしまうこと(接触皮膚炎(せっしょくひふえん))もあります。
目薬の効果を高めるには、さした後2~3分間は目を閉じたり、涙嚢(るいのう)の部分(目頭の下方)を指で押さえておくとよいでしょう。
2種類以上の目薬をさす場合には、時間をずらしたり、5分間ほど間をおくのがもっともよい方法です。同時にささないと忘れてしまうという場合は、点眼の順番を医師にたずねてください。また、指示された回数を守りましょう。さしすぎると、目薬も毒としてはたらくことがあります。
◎目薬を保管するときの注意
保管方法を確かめる 目薬のなかには、冷蔵庫に入れたほうがよいものや、袋に入れて光を遮っておく必要があるものもあるので、保管方法の確認を忘れないようにしましょう。
また、劇薬に指定されている目薬もあり、子どもがまちがって飲むとたいへんです。子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
古い目薬は廃棄する 古い目薬は効果がないばかりか、細菌に汚染されていたり変質していたりして、目に悪影響を与えることがあります。一般的には、開封して1か月以上たったものは廃棄したほうが無難です。
他人の目薬は使わない 眼科でもらった目薬を家族で使い回しをして、一家全員が感染することもあります。他人の目薬をもらって使うのはやめましょう。
◎目薬でおこる副作用
目薬は眼科での治療の基本であり、うまく使えば効果は劇的ですが、注意しないと副作用が出ることもあります。副作用のなかには眼圧の上昇など、自分ではわからないものや、視力障害につながる重いものもあります。眼科では目薬の効果とともに、こうした副作用もチェックしますので、病気が治ったと思っても、決められた日に受診してください。
また、まれですが、目薬によって全身に副作用が出ることがあります。子どもの屈折の検査に使うアトロピンでは、発熱、顔面紅潮、徐脈(じょみゃく)がおこったり、緑内障(りょくないしょう)の代表的な目薬であるβ(ベータ)ブロッカーではぜんそく発作(ほっさ)や不整脈(ふせいみゃく)がおこることがあります。眼科とは関係ないと思っても、からだの病気や体調に変わったことがあったら眼科医に相談してください。
目が乾いたり、疲れるといった症状で市販の目薬を使う人も多いことでしょう。しかし健康な目に目薬は不要です。涙には目に必要なものがすべてそろっています。目がおかしいと感じる場合には、それなりの原因があるものです。売薬であってもさしすぎれば毒にもなります。眼科医に一度相談してください。