十王図(読み)じゅうおうず(英語表記)Shí wáng tú

改訂新版 世界大百科事典 「十王図」の意味・わかりやすい解説

十王図 (じゅうおうず)
Shí wáng tú

冥土生前の罪を裁くといわれる10人の王(十王)を描いた図。中国の民間信仰と仏教信仰との混合から生まれた,五代ころの《預修十王生七経》などの偽経出典とする。中国では宋以後,日本でも鎌倉時代以後さかんに描かれ,遺品も多い。像容には規定はないが,多くは忿怒形の王と,その前に引き出される罪人地獄の責め苦のさまを中心に描かれる。浄土寺,大徳寺蔵などは代表的な例である。
閻魔 →地獄
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十王図」の意味・わかりやすい解説

十王図
じゅうおうず
shi-wang-tu

十王経』所説の冥界の 10人の王を描いた図像。中国,五代,宋初成立といわれ,敦煌に始る。多くは絵巻または 10幅の掛幅より成るが,地蔵を加えた 11幅構成もあり,高麗仏画のように1幅にまとめた曼荼羅形式もある。現存するものは宋代仏画の盛行とともに寧波の仏画師工房で制作されたものが多く,陸信忠をはじめ経歴不明な仏画師の落款 (らっかん) のものがある。中国の十王図は鎌倉時代以降日本に多く将来され,浄土教信仰の盛行とともに日本でも多数制作された。代表作は金処士派作『十王図』 (メトロポリタン美術館) ,陸信忠作『十王図』 (永源寺ほか) 。

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